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自動運転バスは実証から運行へ|国内7事例で読む導入条件

自動運転バスは、すでに「実験だけの技術」ではありません。日本では路線バスとしてレベル4の営業運行が始まり、一般車や歩行者がいる公道へ運行範囲が広がっています。

ただし、車内から運転者を外せば、すぐに人手不足が解決するわけではありません。遠隔監視、乗降支援、運賃収受、点検、事故対応など、残る仕事があるからです。

この記事では、国内7地域の取り組みを比べます。どの会社が何を担い、どの条件なら運行できるのか。さらに、新規事業として参入するなら、どこに機会と難しさがあるのかを整理します。

この記事の結論

自動運転バスの成否は、車両性能ではなく、運転、監視、旅客対応、保守を一つの運行として組めるかで決まります。

  • 国内では、専用道や限定区間からレベル4の営業運行が始まっています。
  • 車内の運転者を外しても、遠隔監視、乗降支援、点検、事故対応は残ります。
  • 参入余地は、路線設計、協調インフラ、遠隔運行、保守・安全証拠にあります。

目次

自動運転バスは「車両」より運行条件で成否が決まる

自動運転バスとは、カメラやLiDAR、レーダー、高精度地図などを使い、周囲の状況を認識しながら走るバスです。現在の社会実装で中心となるのは、決められた道路や速度、天候などの条件内で、システムが運転を担うレベル4です。

ここで大切なのは、レベル4が「どこでも完全に無人で走れる」という意味ではないことです。レベル4は、あらかじめ定めた運行設計領域、いわゆるODDの中で成立します。

たとえば、次の条件が変わると、同じ車両でも運行の難しさは変わります。

  • 専用道路か、一般車と混ざる道路か
  • 右左折、信号、踏切、路上駐車がどれだけあるか
  • 最高速度と運行距離をどこまで求めるか
  • 雨、雪、逆光、夜間に対応するか
  • 車椅子利用者や観光客の乗降を誰が支援するか
  • 通信が切れたとき、誰が状況を確認するか

したがって、導入判断は「性能が高いバスを選ぶ」だけでは終わりません。対象路線をどこまで単純にできるか。車両が苦手な場所を道路側から支えられるか。例外が起きたときに人が安全に引き継げるか。この三つを一緒に考える必要があります。

既存の自動運転の全体像では、乗用車やロボタクシーを含む市場全体を解説しています。本記事はその中でも、地域交通としてバスを運行する条件に絞ります。

レベル4でも、バスの仕事がすべて無人になるわけではない

自動運転が代替する中心業務は、認知、予測、判断、操作です。しかし、路線バスには運転以外の仕事もあります。

乗客が安全に乗り降りできるかを確認する。運賃を受け取る。車椅子利用者を支援する。忘れ物や急病に対応する。運休を案内する。営業所で点検し、不具合が出れば代替車を出す。こうした仕事は、自動運転システムだけでは完結しません。

伊予鉄バスの事例は、この点をよく示します。2024年12月に全国初のレベル4路線バスとして営業運行を始めましたが、国土交通省の紹介では、運賃収受や車椅子支援、必要時の手動介入のため、乗務員が乗車しています。車両の運転が自動化されても、旅客サービスまで一度に無人化したわけではありません。

一方、遠隔監視の人数を減らし、1人で複数台を見る「1対N」が実現すれば、省人化の効果は大きくなります。国土交通省も2026年度の支援制度で、1対Nの導入を重視しています。

つまり、費用を考えるときは車内の運転者だけを見てはいけません。次の式で捉えると、導入効果を判断しやすくなります。

レベル4自動運転バスを導入した後に残る仕事
項目 導入前 導入後に残る仕事
運転 運転者が常時担当 ODD内はシステム、範囲外は停止・引き継ぎ
監視 車内から周囲を確認 遠隔監視、通信監視、アラート対応
旅客対応 運転者が兼務 乗降、運賃、車椅子、急病、問い合わせ
車両管理 点検・整備・代替車 センサー清掃、ソフト更新、走行ログ確認が追加
路線管理 ダイヤと安全管理 ODD、地図、道路工事、天候条件の管理が追加

人件費がゼロになるかではなく、1便当たりに必要な総作業時間がどこまで減るかで評価する必要があります。

レベル4自動運転バスでも残る四つの運行レイヤー
レベル4は運転操作を自動化する。運行全体には遠隔監視、旅客対応、保守が残る。

国内7事例で見る自動運転バスの現在地

国土交通省によると、2026年2月までに全国10カ所でレベル4自動運転が実装されました。ただし、運行段階は同じではありません。

路線バスとして営業している地域、限定区間でレベル4を使う地域、レベル2で定常運行しながらレベル4へ進む地域があります。以下の7事例を、実装の進み方が分かる順に見ていきます。

国内7地域の自動運転バス事例
地域・運行 主な企業・組織 現在地 事例から分かること
松山市・伊予鉄バス 伊予鉄バス、EVモーターズ・ジャパン、BOLDLYなど 2024年12月にレベル4路線バスの営業運行を開始 レベル4でも旅客対応と手動介入の役割が残る
日立市・ひたちBRT 茨城交通、先進モビリティ、産総研など 2025年2月に中型バスでレベル4営業運行 専用道を使うと長い区間から実装しやすい
柏市・柏の葉 東武バスセントラル、CooL4、産総研など 2026年1月に一般道の一部700mでレベル4 既存路線の一部だけをレベル4にする進め方がある
塩尻市 ティアフォー、アイサンテクノロジー、アルピコ交通、KDDIなど レベル4許可を取得し、2027年度の事業化へ拡張 地図、通信、信号、保険まで地域連合で組む
小松市 小松市、ティアフォーなど 2024年からレベル2で有償通年運行、レベル4車両認可を取得 駅と空港を結ぶ明確な需要がある一方、運行改善は続く
岐阜市 岐阜市、BOLDLY、岐阜乗合自動車、日本タクシー 2023年から中心市街地で5年間の継続運行 社会受容性と運行実績を積み上げてから高度化する
境町 境町、BOLDLY、マクニカ、セネック 2020年から生活路線として定常運行 車両調達、運行管理、保守を分業する初期モデル

伊予鉄バスは、レベル4を既存の路線バス業務へ入れた

伊予鉄グループは2024年12月25日、全国初となるレベル4路線バスの本格運行を始めました。技術の実証ではなく、公共交通の運行に組み込んだことが重要です。

同時に、レベル4でも人の役割が残る現実を示しました。運賃、乗降支援、非常時対応まで含めると、最初の実装では「運転を自動化し、サービスは人が支える」形が現実的です。

新規参入企業にとっては、無人化を大きく宣伝するより、残る業務を安全に減らすサービスの方が価値を作りやすいと分かります。

ひたちBRTは、専用道から長距離の営業運行を実現した

ひたちBRTでは、茨城交通が2025年2月からレベル4の営業運行を始めました。国土交通省の資料では、レベル4区間は約6.1km、平日の昼間に8便、最高速度は40km/h以下です。

特徴は、一般車が入らない専用道を中心にしたことです。交差点や横断箇所は残りますが、一般車との複雑な駆け引きを減らせます。最初に走りやすい区間を選び、一般道では手動運転へ切り替える設計です。

「路線全体を一度に無人化する」必要はありません。価値の出る区間から自動化率を上げる考え方は、他の自治体にも応用できます。

柏の葉は、既存の中型バスと一般道でレベル4へ進んだ

柏の葉地区では、東武バスセントラル、産総研などのCooL4コンソーシアムが、2026年1月から特定自動運行を始めました。一般車や歩行者がいる公道のうち約700mをレベル4で走ります。

車両は中型路線バスのいすゞ「エルガミオ」がベースです。専用の小型車だけでなく、既存の旅客輸送に近い車格で実装した点に意味があります。

ただし、レベル4はルート全体ではなく一部です。この事例も、難しい区間を切り分け、許認可と安全性の証拠を積む段階的な導入を示します。

塩尻市は、地域企業へ運行の知識を移している

塩尻市の取り組みは、車両だけでなく地域の運営体制を作っている点が特徴です。ティアフォーが車両と自動運転システム、アイサンテクノロジーが高精度3次元地図、日本信号が信号情報、KDDIが通信、損保ジャパンが保険とリスク評価を担います。

さらに、アルピコ交通やアルピコタクシーが運転・遠隔監視に参加します。地域のテレワーカー「KADO」へ運行技術を移す取り組みも進めてきました。

これは、将来の自動運転バスを「外部事業者が持ち込む箱」にしない考え方です。地域側に運行ノウハウが残れば、路線拡張や費用改善を続けやすくなります。

小松市は、有償の通年運行から運用上の課題を学んでいる

小松市は2024年3月から、小松駅と小松空港の約4.4kmを結ぶ自動運転バスを有償で通年運行しています。2025年には車両のレベル4認可を取得しました。

一方、2026年には縁石への接触が発生し、市は原因調査と運行見直しを公表しました。8月の事案では、システムの動きに対して運転士が手動介入したものの、適切な操作に至らなかったと説明しています。

この事例は、自動運転と人の切り替えも安全設計の一部だと教えます。自動化率だけでなく、介入の判断基準、訓練、記録、再発防止を商品に組み込む必要があります。

岐阜市は、中心市街地で利用経験を積み上げた

岐阜市は2023年11月から、中心市街地で「GIFU HEART BUS」の5年間継続運行を進めています。2026年3月時点で乗車人数は10万人を超えました。

運行主体は岐阜市、運行管理はBOLDLY、オペレーターや遠隔監視は岐阜乗合自動車と日本タクシーが担います。技術企業だけでなく、地域の交通事業者が運行に入っています。

新型車両はレベル2から走行データを積み、必要な許認可を得てレベル4へ移る計画です。日常的に走らせ、市民が利用する状態を先に作ることで、技術と社会受容性を同時に育てています。

境町は、車両、運行、保守を分ける事業モデルを作った

茨城県境町は2020年11月、生活路線として自動運転バスの定常運行を始めました。マクニカが車両を提供し、保守を支援。BOLDLYがルート設定、3D地図、車両設定、運行管理システム「Dispatcher」を担当しました。運行管理にはセネックも加わります。

この分業は、現在の自動運転バス事業にも通じます。自治体がすべての技術を持つ必要はありません。その代わり、車両、ソフト、運行、保守の境界を決め、障害時に誰が判断するかを明確にする必要があります。

国内の自動運転バスが実証から運行へ進んだ主な節目
国内では、走りやすい区間から営業運行を始め、一般道・既存路線へ広げる動きが進んでいる。

自動運転バスの業界構造は、四つの役割で見ると分かりやすい

自動運転バスのプレーヤーは多く、社名だけを並べると分かりにくくなります。そこで、提供価値を四つに分けます。

1. 車両と自動運転システム

車体、センサー、コンピューター、自動運転ソフトを提供する層です。ティアフォーは、オープンソースのAutowareを軸に、自治体向けのMinibusや導入支援を提供しています。先進モビリティは、中型バスのレベル4化を含む車両開発に関わります。

この層は技術的な参入障壁が高く、安全基準、冗長化、型式や車両認可への対応が必要です。新規参入企業が車両全体を一から作るより、センサー清掃、制御部品、電源、車内設備など、限定した部品から入る方が現実的な場合があります。

2. 地図、道路、通信などの協調インフラ

車両単体で解けない場所を、道路側から支える層です。アイサンテクノロジーは高精度3次元地図、日本信号は信号情報、KDDIは通信と遠隔監視を担っています。

見通しの悪い交差点、信号、工事情報、通信の弱い区間などは、複数企業の連携が必要です。道路管理者との調整も欠かせません。

3. 運行管理と遠隔監視

運行計画、車両状態、異常、遅延をまとめて見る層です。BOLDLYのDispatcherは、複数車種の運行管理を目的とし、状態監視、走行指示、点検、緊急対応を支えます。

将来の利益率を左右するのは、この層です。1人が1台を見るだけでは、車内の人を遠隔地へ移しただけになりかねません。複数台を安全に監視し、アラートが重なったときも対応できる設計が必要です。

4. 旅客運送と現場サービス

実際に路線を運行し、乗客へサービスを提供する層です。伊予鉄バス、茨城交通、東武バスセントラル、岐阜乗合自動車、アルピコ交通などが当たります。

自動運転の導入後も、安全管理、ダイヤ、接客、営業所、代替輸送を担うのは交通事業者です。技術企業は、この現場を単なる「導入先」と考えるのではなく、共同で運行を作る相手として捉える必要があります。

導入判断では、自動運転バスの路線を先に選ぶ

導入の成否を左右するのは、最初の路線です。需要が弱い路線では、技術が動いても収入が生まれません。一方、交通量や右左折が多すぎる路線では、手動介入が増えます。

導入しやすい路線には、次の特徴があります。

  • 駅と空港、病院、役所など、移動の目的が明確である
  • 同じ経路を繰り返し走る
  • 専用道、構内、住宅地など、交通環境を整理しやすい
  • バス停数と右左折が少ない
  • 道路管理者、警察、交通事業者が同じ目的を持てる
  • 通信、充電、待機場所、整備拠点を確保できる

ひたちBRTは専用道、小松市は駅と空港、柏の葉は既存シャトルの一部区間というように、各地域は自動運転を入れる理由が明確な場所を選んでいます。

反対に、「運転手が足りないから、赤字路線をそのまま自動化する」という考え方には注意が必要です。自動運転車両、地図、遠隔監視、保守の固定費が加わるため、需要が少ないだけの路線では採算がさらに悪化する可能性があります。

導入前には、次の順番で判断します。

自動運転バスを導入する前の判断項目
判断項目 先に確認する問い 見送りを考える状態
顧客価値 誰のどの移動を守るのか 代替手段と比べた便益が小さい
路線条件 ODDをどこまで単純化できるか 介入地点が多く、道路側対策も難しい
運行体制 監視、乗降、事故時対応を誰が担うか 責任分界が決まらない
経済性 1便当たり総作業時間は減るか 車内要員と遠隔要員が重複する
拡張性 2路線目で再利用できる資産は何か 毎回、地図・許認可・運用を作り直す

MaaSの記事で述べたように、交通サービスはアプリだけでは続きません。自動運転バスも、需要、運賃、接続交通、運行主体まで一体で設計する必要があります。

NEXT STEP

次のステップ

「自動運転バスを走らせたい」を、続く運行事業へ。

対象路線、ODD、官民の役割、運行費、提携先、事故時の代替手段を整理し、参入・提携・待機・見送りの条件を明確にします。

自動運転バスへの新規参入は、運行の「残る仕事」から考える

自動運転バス市場へ参入する方法は、車両製造だけではありません。むしろ、多くの企業にとっては、運行時に残る仕事を標準化する方が参入しやすくなります。

自動運転バス市場で考えられる四つの新規事業参入方法
自社の資産に応じて、路線設計、協調インフラ、遠隔運行、保守・安全のどこを担うかを決める。

参入方法1:路線選定と導入設計を支援する

自治体は、自動運転を入れたい場所ではなく、入れた後に持続する路線を選ぶ必要があります。需要データ、介入しやすい地点、道路改修費、運行費をまとめ、候補路線を比較するサービスには需要があります。

交通データ、都市計画、GIS、コンサルティングの経験がある企業が参入しやすい領域です。ただし、報告書を納品して終わると継続収益になりません。運行後のデータ更新や路線改善まで契約に含める必要があります。

参入方法2:道路・通信・信号を一体で整える

車両が苦手な場所を特定し、カメラ、路側センサー、信号連携、通信補完を入れる方法です。通信会社、道路設備会社、測量会社、電機メーカーに機会があります。

難しさは、設備を増やすほど保守点が増えることです。車両メーカーごとに別仕様にすると、地域側の負担も大きくなります。複数車種で使えるデータ形式と責任分界が競争力になります。

参入方法3:遠隔運行をサービスとして提供する

複数地域のバスを一つのセンターで監視し、アラート対応、運休判断、乗客案内を提供する事業です。BOLDLYのような運行管理基盤に加え、コールセンターや警備、交通運行の経験を組み合わせられます。

最大の論点は1対Nです。監視者1人が安全に何台を見られるか。複数車両で同時に異常が起きたらどうするか。通信断時に車両をどう止めるか。これらを運行データで説明できなければなりません。

参入方法4:保守・安全証拠を標準化する

センサー清掃、始業点検、ソフト更新、介入ログ、事故調査、再発防止を一つの仕組みにする事業です。整備会社、保険会社、品質保証、サイバーセキュリティ企業が関われます。

小松市の事案が示すように、自動運転と手動運転の切り替えも検証対象です。誰が、どの表示を見て、何秒以内に、どう操作するか。訓練と記録をセットで提供できれば、地域ごとの運行準備を短くできます。

イノベーション総研は、参入先を決める前に「自社だけが持つ資産」を確認します。道路設備の顧客網、地域交通との関係、整備拠点、監視人材、事故データなどです。その資産が四つの役割のどこで効くかを見れば、提携先と収益モデルを決めやすくなります。

事業化の難所は、許認可より運行を続けることにある

許認可の取得は大きな節目です。しかし、公開後に問われるのは、毎日走り続けられるかです。

難所1:自動化率と安全性を混同しない

手動介入が少ないことは重要ですが、少なければ安全とは限りません。危険を避けるために正しく止まり、人へ引き継げることも安全です。

介入回数だけでなく、介入理由、発生場所、復帰方法、乗客への影響を記録する必要があります。自動化率を広報数字にせず、路線改善のデータとして使います。

難所2:実証費用から通常運行費へ移る

補助金や研究費で実証できても、通常運行の予算へ移れなければ事業は続きません。車両の減価償却、通信、地図更新、遠隔監視、保守、保険、代替車を含めた総費用を出します。

2026年度の国の支援は、2027年度までのレベル4実装計画や1対Nを重視しています。これは、技術導入だけでなく、運行費を下げる仕組みが求められていることを意味します。

難所3:一つの事故を全体の停止へ広げない

自動運転では、安全確認のための運休が必要になる場合があります。しかし、一つの車両や路線の事案で、地域交通全体が止まる設計は避けるべきです。

代替車、手動運転、他路線への振替、乗客案内を用意します。技術企業は事故原因の分析だけでなく、サービスをどう継続するかまで交通事業者と決める必要があります。

難所4:地域ごとの特注を増やしすぎない

道路も運行ルールも地域ごとに違います。ただし、毎回すべてを作り直すと、横展開できません。

共通化すべきものは、点検、アラート分類、教育、ログ、事故報告、契約上の責任です。地域固有にするものは、ルート、速度、信号、天候条件、乗降支援です。この切り分けが、新規事業の粗利を左右します。

スマートシティの記事でも、都市OSより運営主体が重要だと整理しました。自動運転バスも同じです。技術を束ね、運行責任を持つ主体がいなければ、実証は増えても定着しません。

自動運転バスについてよくある質問

Q. 自動運転バスは、すでに日本で営業運行していますか?

A. はい。伊予鉄バスは2024年12月にレベル4路線バスの営業運行を開始しました。ひたちBRTでも2025年2月から、中型バスによるレベル4営業運行が始まっています。ただし、対象区間や乗務員の役割は地域ごとに異なります。

Q. レベル4なら運転手は不要ですか?

A. ODD内の運転操作はシステムが担えます。ただし、遠隔監視、乗降支援、運賃、点検、異常時対応などは残ります。車内に乗務員がいる運行もあります。省人化は、運行全体の作業量で確認する必要があります。

Q. 自動運転バスは一般道でも走れますか?

A. 走れます。柏の葉や塩尻では、一般車や歩行者がいる公道でレベル4の取り組みが進んでいます。ただし、対象区間、速度、天候などの条件が定められます。

Q. 自治体が導入するとき、最初に何を決めるべきですか?

A. 最初に決めるのは車種ではなく、守りたい移動と対象路線です。利用者、代替交通、走行環境、監視体制、通常運行へ移った後の費用を比べます。その後に、車両と協力企業を選びます。

Q. 新規参入しやすい領域はどこですか?

A. 路線選定、地図・通信・信号連携、遠隔監視、旅客対応、保守、安全記録などです。車両を作らなくても参入できます。ただし、単発の実証支援では収益が続きにくいため、運行後に繰り返し使われる業務を選ぶ必要があります。

まとめ|自動運転バスは「無人車」ではなく運行事業として考える

自動運転バスは、実証から営業運行へ進みました。専用道だけでなく、一般車と歩行者がいる道路でもレベル4の実装が始まっています。

一方、現在の事例が示すのは、車両だけでは地域交通を支えられないという事実です。路線、道路、通信、遠隔監視、旅客対応、保守、事故時の代替輸送を一つの運行として組む必要があります。

新規事業の機会は、そのつなぎ目にあります。自社が持つ顧客網、設備、運行、保守、データを確認し、四つの役割のどこで価値を出すかを決めます。

参入を判断するときは、「レベル4の車両を持てるか」ではなく、「地域交通の残る仕事を、より安全に、少ない総作業時間で回せるか」と問い直すことが重要です。

主な参考資料

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自動運転バスの事業機会を、自社の資産から具体化する。

交通、道路、通信、設備、運行、保守の資産を整理し、誰が支払い、何を自社で持ち、誰と組むかを設計します。

ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

国土交通省、伊予鉄グループ、産業技術総合研究所、塩尻市、小松市、岐阜市、BOLDLY、ティアフォーの公式サイト・公表資料。根拠は本文中のリンクから確認できます。

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