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出光、廃プラスチック由来の油からナフサまで一貫製造

ニュースの要点

出光興産は2026年9月28日、子会社のケミカルリサイクル・ジャパン(CRJ)が使用済みプラスチックからつくった油を、千葉事業所の石油精製装置で処理し、ナフサを製造したと発表しました。ナフサは、プラスチックなどの石油化学製品をつくる原料です。

今回の目的は、回収したプラスチックを再び製品原料へ戻す供給体制を整えることです。千葉県市原市のCRJ設備でプラスチックを油に変え、出光の既存設備へつなぎました。原料調達から油化、精製、ナフサ製造までをグループ内で一貫して行います。

CRJの油化設備は2026年4月に商業運転を始めています。今回、そこから得た油をナフサまで加工した実績を示しました。製造量、販売量、製造コスト、温室効果ガスの削減量は公表していません。

ニュース出典:出光興産「出光グループ内で使用済みプラスチック由来の油からナフサまでの一貫製造を実現」(2026年9月28日14時03分)。

イノベーション総研の考察

プラスチックを油に戻せても、その油を次の製造工程が受け入れられなければ、最終製品にはつながりません。今回の発表で進んだのは、新しい油化工程と、出光が持つ既存の石油精製工程との接続です。

イノベーション総研は、本件を「再生できる技術」から「顧客が使う原料を供給する事業」へ進むための到達点と捉えます。ただし、一度製造できたことと、一定の品質・量・費用で供給し続けられることは、分けて評価する必要があります。

油に戻すだけで終わらせず、既存の精製装置へつなぐ

出光は4月28日の発表で、CRJ市原事業所が前日に商業運転を始めたと説明していました。同設備の使用済みプラスチック処理能力は年間2万トンです。これは設備が処理する原料の能力であり、今回製造したナフサの量ではありません。

4月は油化設備の運転開始、9月はその油を既存設備でナフサへ加工した発表です。この二つをつなぐことで、新工程から出たものを、従来の化学品づくりへ渡せることを示しています。

新技術の出口を既存の製造工程へ合わせると、すべての設備や販路を一からつくる必要を減らせる可能性があります。

出光には精製設備があり、CRJには使用済みプラスチックを油に変える工程があります。別々の技術として見るのではなく、工程間で受け渡す原料の条件をそろえた点が参考になります。ただし、既存設備を使えたことだけで、設備投資や運転費がどれだけ減ったかまでは判断できません。

既存設備を使えても、原料のばらつきは管理する必要がある

回収されるプラスチックは、出所や材質、混入物が一様とは限りません。油化した後の品質が変動すれば、後工程でも検査や運転条件の調整が必要になる可能性があります。これは今回の設備で不具合が起きたという情報ではなく、原料を切り替える事業の確認事項です。

再生原料を増やす際は、集められる量だけでなく、後工程が受け入れられる品質で供給できる量を見ます。

量を確保するために受け入れる原料の種類を広げれば、選別や前処理の負担が増えるかもしれません。一方、品質を安定させるために原料を絞れば、調達量や費用に制約が出る可能性があります。実際の許容範囲やコストは、今回の発表では明らかにされていません。

担当者の方が循環型事業へ参入するなら、回収企業と製造企業を紹介し合うだけでは足りません。受け入れ基準、基準を外れた原料の扱い、品質確認の費用を、両者の間で具体化することが事業の安定につながります。

ナフサを製造したことと、循環型製品が売れることを分ける

ナフサは最終商品ではなく、さらに加工される原料です。今回の製造実績だけでは、その先の製品でどの顧客が採用し、どの条件で買い続けるかは分かりません。

4月の公式資料では、再生原料の投入量に応じて製品へ特性を割り当てる「マスバランス方式」が説明されていました。従来原料と混合する工程でも、投入した再生原料の量を管理する考え方です。個々の製品の全成分が使用済みプラスチックだけからできている、という意味ではありません。

循環型素材の販売では、原料の由来を説明できることと、顧客が求める性能・価格で供給できることの両方が必要です。

顧客の調達担当者が確認したいのは、自社製品で使える品質、必要な数量、原料由来の証明、継続購入できる価格です。技術を紹介する資料と、採用審査に使う資料では、必要な情報が違います。

今後は、製造量だけでなく、採用先や供給条件が示されるかを追いたいところです。原料の由来だけを根拠に環境効果を数量換算したり、最終製品まで販売済みと読んだりすることは避ける必要があります。

2号機の投資判断へ、1号機の何を引き継ぐのか

出光は6月30日、2号機の基本設計を始めると発表しました。同資料は、1号機の知見を使って設備仕様などを検討し、制度動向や需要見通しを踏まえて投資時期を判断するとしています。基本設計の開始は、建設投資の最終決定とは異なります。

増設に引き継ぐべきなのは成功した運転条件だけでなく、品質や費用が不安定になる条件です。

原料の組み合わせが変わった時に生産がどう変わるか、保守や停止にどれだけ費用がかかるかを把握できれば、次の設備で修正すべき箇所を絞れます。製造に成功した一回の条件だけを拡大すると、調達量を増やした段階で異なる問題に直面するおそれがあります。

今後の観測点は、安定運転の実績、継続的な供給先、そして2号機の投資判断です。自社の新事業でも、技術が動くことを示す段階と、追加投資を回収できる需要を確かめる段階を分けることが、拡大を急ぎすぎない判断につながります。

まとめ

出光は、使用済みプラスチックを油に変える新工程を既存の精製設備へ接続し、ナフサまでの一貫製造を実現しました。大企業の設備を使って新しい原料を事業へ組み込む例ですが、販売や採算の完成を示した発表ではありません。

循環型事業では、回収、品質管理、製造、顧客の採用条件を一続きで考える。そのうえで、実績から分かった限界を次の設備投資へ反映することが重要です。

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執筆:イノベーション総合研究所

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