投稿日:2026.09.09 最終更新日:2026.09.10
市場調査の費用相場は?手法別の料金例と予算の決め方
市場調査の費用は、セルフ型の小規模なアンケートなら数千円、ネット調査の委託なら十数万〜数十万円、会場や進行役を伴う調査では100万円を超える公開例もあります。ただし、募集だけの料金と、設計・分析・報告まで含む料金は別物です。
「予算をいくら申請すればよいか」「見積もりが高いのか判断できない」。新規事業の担当者が迷ったときは、同じ対象者・依頼範囲・成果物を揃えて、総額を比べることが大切です。
本記事では、公式の公開料金を条件つきで整理し、費用が変わる理由、見積もりの確認項目、相見積もりに使える依頼文まで紹介します。イノベーション総研の888名調査も踏まえ、調査結果を顧客や投資の判断に使うための予算の組み方を解説します。
この記事のポイント
- 相場は、金額だけでなく対象者・人数・依頼範囲と合わせて読む
- 参加者の募集、調査の実施、集計・報告を分けて見積もりを確認する
- 調査後に何を決めるかを明確にし、必要な情報へ予算を配分する
- 6つの確認項目と依頼文を使い、同じ条件で相見積もりを取る
目次
市場調査の費用相場は、手法と依頼範囲で変わる
市場調査の予算をつかむには、まず「ネットで回答を集める」「一人ずつ話を聞く」「実物を使ってもらう」のどれが必要かを分けます。そのうえで、設計や分析を自社で行うか、調査会社へ任せるかを決めます。
相場を見るときは、金額と「どこまで含むか」をセットで確認してください。以下は調査会社・ツールの公式公開料金から選んだ例です。業界全体の平均や、同じ仕様で競わせた比較ではありません。
| 手法・依頼範囲 | 公開例(税別) | 条件と含まれる範囲 |
|---|---|---|
| セルフ型ネット調査/Freeasy | 10,000円 | 10問・100人の本調査。自社で設計・設定・結果の解釈を行う前提。事前の絞り込みや追加支援は別 |
| ネット調査/楽天インサイト | 165,000円 | 10問・500人の本調査、画面作成を含む。スクリーニングは50,000円〜の別料金 |
| ネット調査+集計・標準報告/アスマーク | 270,000円 | 毎日コンビニを利用する150人・8問。事前抽出、単純・クロス集計、標準レポートを含む |
| デプスインタビューの募集のみ/アスマーク | 138,400円 | 毎日朝食を摂る6人の募集。謝礼、インタビューの実施・分析を含む総額ではない |
| グループインタビュー/アスマーク | 1,426,920円 | 指定製品利用者6人×4組、各120分。会場、進行役、記録、報告書、謝礼等を含む |
| ホームユーステスト/ネオマーケティング | 712,310円 | 40〜64歳女性45人、サプリメント、返送なし。発送、事後調査、謝礼等を含む |
| 会場調査/ネオマーケティング | 1,856,675円 | 100人・2日間。募集、会場、調査員、集計、謝礼等を含む |
金額は税別、2026年9月9日確認。ネオマーケティングの公開料金表は「2025年6月時点」と記載されています。いずれも対象条件や依頼範囲によって変わるため、予算申請時には自社条件の見積もりに置き換えてください。
ネット調査は、自社で行う作業によって金額が変わる
セルフ型は、自社で質問を作り、画面を設定し、結果を読み解くことを基本にしたサービスです。たとえばFreeasyの10問・100人の本調査は1万円ですが、調査設計を丸ごと委託する料金ではありません。基本属性以外で対象を選ぶ事前調査や、追加の品質確認などは別に確認します。Freeasyの公式料金表には、設問形式による数え方とオプションも掲載されています。
楽天インサイトの10問・500人の本調査は16万5,000円で、画面作成を含みます。ただし、条件に合う人を探すスクリーニング(事前の絞り込み調査)は5万円からの別料金です。設計・分析・報告まで依頼したい場合は、公式のサービス範囲と料金を確認したうえで総額を相談します。
インタビューは、参加者の募集だけか実施までかを分ける
「6人で十数万円」という表示が、6人のインタビューを完了する料金とは限りません。アスマークの公開例では、毎日朝食を摂る人6名をデプスインタビューの参加者として募集する費用は13万8,400円です。参加者への謝礼は別で、聞き手による実施や分析までを含む金額ではありません。
一方、同社の6名×4組のグループインタビュー例は142万6,920円。指定製品の利用者を対象に、1組120分、会場・進行役・記録・報告書・謝礼などを含む仕様です。参加人数だけを割り算して「1人いくら」で比べると、必要な作業を見落とします。アスマークの公式料金例で、含まれる工程を確認できます。
商品を使う調査は、会場・発送・運営の費用も含める
ホームユーステストは、自宅などで商品を使ってもらう調査です。ネオマーケティングの45名の公開例は71万2,310円で、募集、試用品の発送、事後アンケート、謝礼、管理費などを含みます。試用品を返送しない仕様のため、回収が必要な案件は別条件です。
会場調査の100名の公開例は185万6,675円で、募集に加え、2日間の会場や調査員、集計、謝礼などが計上されています。金額の大きさだけでオンライン調査へ置き換えず、味・触り心地・操作性など、実物でなければ分からない点があるかを先に判断します。出典:ネオマーケティングの公式料金表。
同じアンケートでも、集計・報告を加えると総額が変わる
見積もりの金額差は、調査会社の単価差だけではありません。受け取る成果物が違うために生じることもあります。アスマークが公開する「毎日コンビニエンスストアを利用する全国の150名へ8問」の例を、費用の内訳で見てみましょう。
| 工程 | 金額(税別) | 仕様の要点 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 75,000円 | 150人・8問以内。調査票の確認、画面作成、配信・回収等 |
| スクリーニング | 35,000円 | 2,000人・7問以内の事前調査で対象を抽出 |
| 単純集計 | 30,000円 | 10問以下の回答分布 |
| クロス集計 | 50,000円 | 10問以下・1つの集計軸 |
| 標準レポート | 80,000円 | 10問以下の標準報告 |
| 合計 | 270,000円 | 基本・事前抽出11万円+集計・標準報告16万円 |
事前調査は2,000名・7問以内を想定した例です。基本料金と事前調査の合計は11万円ですが、集計と標準レポートまで含めると27万円になります。安い見積もりに足りない工程を、発注後に自社で埋めることもあります。総額に加え、担当者が使う時間も見込んでください。
出典:アスマーク「リサーチ費用・料金」の公開見積もり例。この27万円には既存の調査票の確認・修正提案等が含まれますが、白紙から事業課題を整理するコンサルティングの価格ではありません。
「データ納品」と「次に何をするかの提案」は別の成果物
単純集計は質問ごとの回答分布、クロス集計は属性などで分けた回答の違いを示します。ローデータは回答者ごとの元の回答です。いずれも役立つ成果物ですが、それだけで参入先や価格が決まるわけではありません。
新規事業で必要なら、「どの顧客層を優先するか」「想定と異なる回答は何か」「次に誰へ何を確認するか」を報告会で整理するところまで依頼します。標準レポートにその解釈や提案が含まれるとは限らないため、納品見本と担当範囲で確かめてください。
市場調査の費用を左右する4つの条件
自社の案件が公開料金より高くなるときは、次の4点を確認すると理由を説明しやすくなります。金額だけで削減を求めず、どの条件を変えれば何が分からなくなるかも聞きましょう。
1. 対象者が少ないほど、募集の手間が増える
一般消費者よりも、「特定業種で、直近にシステム選定を担った人」のような条件では、対象者を探す工程が重要になります。該当者が事前調査の回答者に占める割合を、出現率と呼びます。
説明用の単純計算では、100人を集めるのに出現率20%なら500人、2%なら5,000人の事前回答が必要です。ただし、これは全員が本調査にも回答すると仮定した計算です。実際には参加辞退や条件確認もあるため、募集人数や料金をそのまま確定する式ではありません。
BtoB調査では「会社員」や「管理職」だけで代用せず、今回の判断に必要な業務経験を確認します。該当者を集められない場合の代替案と、その場合に言えなくなることまで相談してください。
2. 回答人数は、全体ではなく比較したい層ごとに考える
400人の調査でも、8つの顧客層を均等に分ければ各50人です。総数だけを見て十分と判断せず、比較に使うグループごとの人数を見ます。必要数は、見たい差の大きさ、分析方法、対象者のばらつきによって変わります。
困りごとの理由を知るインタビューと、顧客層ごとの割合を比べるアンケートでは人数の決め方が異なります。「この人数で何を判断できるか」を調査会社に説明してもらい、予算に合わせて比較軸を絞る選択肢も検討します。
3. 質問数は、設問形式と回答時間も合わせて確認する
見た目が1問でも、項目を横並びで評価する形式では複数問として数えられる場合があります。長い自由回答、動画や画像を使う質問も、サービスごとに換算や追加料金が異なります。
質問を1つに詰め込んで費用を下げようとすると、回答者が理解しづらくなることがあります。料金上の設問数だけでなく、実際に答える時間と読みやすさも確認しましょう。
4. 実施場所・日程・変更回数が追加費用になる
対面の会場、通訳、試作品の発送・回収、訪問先までの移動などは、ネット調査にはない費用です。画面完成後の変更や、納品後の追加集計も別見積もりになる場合があります。
「短納期でお願いします」と伝える前に、社内の承認日、対象者の募集期間、報告後に検討する時間を整理します。追加料金が発生する条件と、金額を確定するタイミングを見積もりに書いてもらうと、後から調整しやすくなります。
新規事業の調査予算は「何を決めるか」から組む
イノベーション総研の888名調査では、外部支援サービスの導入承認を得るために重要な材料として、48.5%が「ROI・費用対効果の試算」を選びました。次いで他社導入事例・実績が36.0%、経営課題・中期経営計画との整合性が24.2%でした。
外部支援の導入承認で重視される材料
これは外部支援全般の承認材料についての回答で、市場調査だけの費用や、承認率を測ったものではありません。イノベーション総研は、この結果を「相場の範囲内です」に加えて、調査で何を決めるかを説明する必要性として捉えます。
調査費と、その後に判断する投資を分けて説明する
「調査費50万円で、必ず売上が増える」とは約束できません。代わりに、今のままでは決められないことと、結果によって変える行動を示します。
たとえば法人向けサービスなら、「利用者は便利だと感じるが、決裁者が費用を負担する理由は未確認。導入経験者への調査で、支払い条件と社内承認の流れを確認し、有償実証へ進む顧客を選ぶ」と書けます。これは説明用の例です。
予算申請では、調査費、社内担当者の作業時間、調査後に判断する開発・販売の投資を分けて示します。結果が期待を下回ったら対象顧客を変えるのか、追加検証をするのか、投資を見送るのかも先に置きます。こうすると、調査を実施したことではなく、次の判断へ進めたかで振り返れます。
顧客像が曖昧なら、小さく確かめてから調査を広げる
イノベーション総研は、各段階で顧客への確認を重ねることを重視しています。この考え方を予算に落とし込むなら、一度に全てを発注する必要はありません。最初は公開情報と少人数の対話で「誰の、どの場面の問題か」を絞り、比較したい顧客層が見えてからアンケートへ進む方法があります。
ただし、既に対象と仮説が明確で、割合や規模を把握する必要がある案件まで、必ずインタビューから始めるわけではありません。今足りない情報に合わせて順番を選びます。顧客課題の整理は課題仮説の検証方法、市場規模の仮置きはフェルミ推定による市場規模の考え方も参考になります。
市場調査の費用で、いま迷っていることはどれですか
近い状態を開くと、確認項目と参照先が分かります。
何を調べるか迷う場合は、新規事業リスク診断「Compass」で現在地を整理する方法もあります。調査費の自動見積もりではなく、事業の課題を見直すための診断です。
NEXT STEP
次のステップ
調査結果を、顧客検証と事業化の判断へ
情報は集まったが次の行動が決まらない、仮説を顧客に確かめる体制がない。そのような場合は、イノベーション総研の支援内容をご確認ください。
市場調査の見積もりで確認する6項目
相見積もりは、同じ条件で依頼して初めて価格差の意味が分かります。次の6項目を並べ、含まれない工程や未確定の費用を空欄のままにしないことが大切です。
| 確認項目 | 各社へ確認すること | 差が出たときの判断 |
|---|---|---|
| 対象者と人数 | 業務・購入経験、募集方法、有効回答の定義、層ごとの人数 | 条件を緩めると、今回の顧客像から外れないか |
| 任せる工程 | 質問作成、画面、募集、実施、分析の担当 | 自社で担う時間とスキルがあるか |
| 受け取る成果物 | 回答データ、集計表、発言記録、報告書、報告会の範囲 | 次の判断に必要な情報が残るか |
| 回答・対象者の品質 | 不適切回答の除外、参加条件の確認、欠席・不足時の対応 | 人数を満たすために条件を変えないか |
| 追加・変更・中止 | 修正回数、再集計、追加募集、中止時の精算、データ利用条件 | どの時点で追加費用が確定するか |
| 納期・税・支払い | 募集から報告までの日程、税込総額、支払い時期 | 社内判断の期日に間に合い、予算上限に収まるか |
たとえばA社は集計表だけ、B社は分析報告会まで含むなら、そのままの合計額では比較できません。A社へ報告会を追加した場合と、B社から不要な作業を外した場合を確かめ、どちらが今回の判断に必要な内容を満たすかで選びます。
会社ごとの特徴や選定基準は、市場調査会社7社の比較と依頼先の選び方に整理しています。本記事の条件表と合わせて、候補各社へ同じ要件を伝えてください。
調査費用を抑える4つの方法と、削らない条件
費用削減は、人数を減らすことだけではありません。自社に既にある情報、不要な質問、重複する作業を整理すると、必要な調査へ予算を集中できます。
1. 既存の情報で分かることを先に調べる
公的統計、企業の開示資料、業界団体の資料、過去の自社調査を先に確認します。市場の大枠や競合の提供価格など、公開情報で分かる点を外部調査で取り直す必要はありません。
一方、顧客の直近の業務、未導入の理由、決裁者の判断条件は、公開情報だけでは分からないことがあります。デスクリサーチで残った問いを、インタビューなどの一次調査へ渡します。進め方はデスクリサーチのやり方で解説しています。
2. 今回の判断に使わない質問を外す
「せっかく聞くので、これも追加したい」という質問には、どの判断に使うかを確認します。今回使わない質問は次回へ回し、重要な比較に必要な項目を残します。
削ってはいけないのは、対象者が条件に合うかを確かめる質問や、結果を正しく解釈するための項目です。設問数だけを減らして、誰の回答か分からなくなっては調査の価値が下がります。
3. 内製する作業と、専門家へ頼む作業を分ける
社内に経験があれば、公開資料の収集、仮説の整理、基本的な集計を内製する方法があります。対象者の募集、誘導しない質問づくり、専門的な分析など、難しい工程だけを依頼できるか相談します。
ただし、内製の人件費をゼロと扱わないことが重要です。初めての調査で設問設計を削り、その後にやり直すより、配信前に専門家へ確認を頼んだほうが全体の手戻りを減らせる場合があります。
4. 段階ごとに発注し、続ける条件を決める
顧客像が定まっていない段階なら、探索と検証を分けて見積もってもらいます。最初の段階で課題が確認できなければ、次の大量調査へ進む前に対象や仮説を見直せます。
分割すれば必ず安くなるわけではありません。再募集や立ち上げ費用が増える場合もあるので、分割時の総額と変更・中止時の精算条件を確認します。削るのは判断に使わない作業であり、対象者の適切さや回答品質ではありません。
相見積もりを依頼するときは、判断・対象・成果物を揃える
「市場調査はいくらですか」だけでは、会社ごとに異なる調査案が返ってきます。少なくとも、何を決めるか、誰を調べるか、何を受け取りたいかを同じ文章で伝えましょう。
以下は法人向け経費精算サービスを検討する、説明用の架空例です。40万円は予算の伝え方を示す仮置きで、この内容を実施できる相場や、実際の受注額を表すものではありません。
| 伝える内容 | 依頼文の例 |
|---|---|
| 今回の判断 | 中小企業向け経費精算サービスで、有償実証を提案する顧客条件を決めたい。 |
| 現在の仮説 | 経理担当者には負担があると考えているが、乗り換え費用と決裁の条件が未確認。 |
| 対象者 | 直近2年以内に経費精算システムの選定・導入に関わった経理責任者。実際の役割を確認して募集してほしい。 |
| 知りたいこと | 直近の導入経緯、比較した選択肢、費用を負担する理由、乗り換えを見送る条件。 |
| 依頼する範囲 | 対象者募集、質問案、実施、分析、報告会。人数と方法は、判断できる内容と理由を添えて提案してほしい。 |
| 必要な成果物 | 対象条件、匿名化した発言記録、共通点と相違点、仮説に反する情報、次に確認すべきこと。利用できないデータは明示してほしい。 |
| 予算・期限 | 予算上限は40万円(税別、説明用の仮置き)。社内会議は○月○日。報告後に検討する時間も確保したい。 |
| 代案・自社の関与 | 集まらない場合や予算を超える場合は、別案と確認できなくなる点を示してほしい。担当者は質問設計と報告会に参加する。 |
この時点で人数や方法を固定しきる必要はありません。「この予算で何を確認でき、何が残るか」を提案してもらいます。予算不足なら、対象を広げて見かけの人数を満たすより、今回の判断範囲を狭める案を検討してください。
市場調査の費用相場についてよくある質問
少額予算でできる範囲、BtoB調査の募集費、謝礼や内製の扱いなど、発注前に迷いやすい点をまとめました。
まとめ:市場調査の相場を、判断できる見積もりに変える
市場調査の費用は、手法だけでなく、対象者の集め方と任せる工程で変わります。セルフ型の本調査料金、参加者の募集だけの料金、設計・分析・報告までの委託費を同じものとして比べないことが出発点です。
新規事業では、安く多くの回答を集めても、顧客や投資について次の判断ができなければ十分ではありません。イノベーション総研は、今回決めることを一文にし、その判断に足りない情報から調査内容と予算を組むことを勧めます。公開情報で確かめられることを先に調べ、未確認の課題に予算を集中させましょう。
まずは本記事の6項目と依頼例を使い、同じ対象・成果物・期限で見積もりを取り直してください。金額差の理由と、結果が出た後に変える行動まで説明できれば、相場表は予算申請と発注に使える判断材料になります。
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