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市場調査会社8社を比較|新規事業で失敗しない選び方と依頼例

市場調査会社を比較するときは、知名度や料金だけでなく、調べたい相手、任せたい工程、必要な成果物が合うかを確認します。本記事では、マクロミル、インテージと当社イノベーション総研を含む8社の公式情報をもとに、違いと相談時の確認点を整理します。

「会社が多く、どこへ相談すればよいか分からない」「見積もりの金額差を説明できない」。新規事業の調査で迷ったときは、同じ判断・対象者・成果物を揃えて比べることが、選定の出発点です。

8社の比較表から、選ぶ5つの基準、公開料金の読み方、そのまま相談に使える依頼文まで紹介します。イノベーション総研の888名調査と顧客検証を重視する考え方も踏まえ、報告書を受け取った後に何を決めるかまで整理しました。

この記事のポイント

  • 8社の違いは、調べる相手・保有データ・任せる工程から捉える
  • 対象者、担当者、回答品質、納品物、情報管理の5点を確認する
  • 見積もりは、自社が担う作業と追加費用まで揃えて比べる
  • 調査後に何を決め、誰に次の検証を行うかまで予定する

目次

市場調査会社8社の比較|調べたいことから候補を絞る

市場調査会社は、顧客の意識・行動や市場の動きを調べ、事業の判断材料を提供する会社です。アンケートを実施する会社というイメージがありますが、インタビュー、購買データの分析、産業調査、商品企画まで扱う会社もあります。

まずは、調査手法や保有データの違いから相談先を探せる8社を紹介します。以下は各社の公式情報をもとに、イノベーション総研が新規事業の用途を整理したものです。掲載順は順位ではなく、相談例も各社の対応範囲を限定するものではありません。提供内容は2026年9月9日時点で確認しています。

市場調査会社8社の主な特徴と、新規事業で相談する際の確認点
会社 公式に案内する調査・支援の例 新規事業で相談したい場面 個別に確認すること
マクロミル ネット調査、インタビュー、BtoB調査 消費者や法人の担当者から仮説への反応を得たい 対象業務・意思決定の経験をどう確かめるか
インテージ 購買・販売データ、各種リサーチ 実際の購入や販売から市場の動きを捉えたい 対象カテゴリー・チャネルがデータに含まれるか
クロス・マーケティング ネット調査、会場調査、ホームユーステスト 試作品の使用感と説明文への反応を確かめたい 実物の手配から分析まで、どこを任せるか
楽天インサイト ネット調査、行動データを使った分析 意識だけでなく行動も合わせて顧客を理解したい 希望する行動データと利用条件が合うか
GMOリサーチ&AI 調査代行、回答者提供、セルフ型ツール 自社にある調査スキルに合わせて工程を分担したい 自社が担う設計・画面作成・分析の範囲
ネオマーケティング 調査、商品開発・コンセプト、施策支援 調査結果を商品企画や施策へつなげたい 調査後の企画・実行が見積もりに含まれるか
矢野経済研究所 産業別レポート、受託調査 市場構造や参入企業、商流を調べたい 既刊資料の対象範囲と追加調査が必要な点
イノベーション総研(株式会社イノベーション総合研究所) 事業仮説の整理、検証論点・顧客テストの設計、事業化支援 調べる問いから整理し、結果を顧客検証や事業化へつなげたい 市場調査・専門家インタビューの対応範囲、実施体制、費用、引き継ぐ内容

表で近い候補を見つけたら、自社が聞きたい人を集め、判断に必要な成果物を受け取れるかを個別に確認してください。同じネット調査でも、設問の設計から任せる場合と、回答の収集だけを頼む場合では、必要な体制も料金も変わります。

本記事はイノベーション総研が制作しており、比較対象に当社を含みます。調査専業の会社と、新規事業の検証・実行を支援する会社では役割が異なります。知名度や掲載順ではなく、同じ依頼条件に対する提案で判断してください。

マクロミル|消費者調査と法人の担当者調査を相談する

マクロミルは、インターネット調査に加え、インタビュー、会場調査、ホームユーステストなどを提供しています。法人向けのBtoB調査では、職種や企業規模、意思決定権などの情報を持つパネルを活用した調査も案内しています。パネルとは、調査への協力に登録した回答者の集まりです。

消費者向けの新商品に対する反応を広く調べたい場合や、法人の特定業務を担当する人へ話を聞きたい場合の候補になります。法人向けでは「人事部に所属」だけで足りるのか、「直近に採用システムを選定した」経験まで必要なのかを伝え、対象者の条件と確認方法を相談しましょう。

公式情報:サービス一覧BtoB調査

インテージ|購入・販売の実態から市場を読む

インテージは、調査に加えて、継続的に収集する購買・販売データを活用した分析を提供しています。小売店の販売を捉えるSRI+、消費者の購買を捉えるSCIなどがあり、「買いたい」という意向だけでなく、実際の購入・販売の動きを検討材料にできます。

消費財の市場で、伸びているカテゴリー、購入者の特徴、販売チャネルの違いを調べたいときに相談を検討できます。ただし、既存のデータが自社の新商品カテゴリーや販売経路まで含むとは限りません。対象商品、店舗・地域、期間、集計単位を確認し、不足分を別の調査で補うかを決めます。

公式情報:サービス一覧データ解析・予測

クロス・マーケティング|アンケートと実物評価を組み合わせる

クロス・マーケティングは、ネットリサーチ、インタビュー、会場調査、ホームユーステストなどを案内しています。ホームユーステストは、商品を自宅などで使ってもらい、使用感や評価を調べる方法です。ネット調査では、設計からの支援と、回答収集などの実査のみの依頼を選べます。

説明文への反応と、実物を使ったときの評価を分けて確認したい場合の候補になります。試作品があるなら、送付や回収、利用期間、安全面の説明、評価項目まで相談しましょう。単に「商品を試したい」ではなく、何が分かれば仕様を変更するのかを共有すると、必要な調査を絞れます。

公式情報:サービス一覧ネットリサーチ

楽天インサイト|意識と行動データを重ねて顧客を理解する

楽天インサイトは、インターネットリサーチに加え、楽天グループの行動データを活用した分析や調査を提供しています。医療分野の調査や海外調査も案内しており、一般消費者のアンケートだけに限らない相談ができます。

「誰が関心を示したか」に加え、購入などの行動と意識を関連づけて捉えたい場合は、活用できるデータを確認する価値があります。希望する行動が取得対象か、アンケート回答とどの単位で組み合わせられるか、どの利用目的まで認められるかは、案件ごとに確認が必要です。

公式情報:楽天インサイトのサービス

GMOリサーチ&AI|調査代行とセルフ型を使い分ける

GMOリサーチ&AIは、アンケート代行、回答者の提供、セルフ型の調査ツールなどを提供しています。自社で設問や調査画面を作れるかどうかに合わせて、外部へ任せる工程を選びやすい構成です。国内・海外のオンライン調査やBtoB調査も案内しています。

自社に調査担当者がいて、回答収集を外部に頼みたい場合と、調査画面の作成から頼みたい場合を分けて検討できます。セルフ型を選ぶときは、操作のしやすさだけでなく、設問の偏りや集計ミスを誰が確認するかも決めておきましょう。後半で、同社の公開料金を使って依頼範囲の差を比較します。

公式情報:提供サービスネットリサーチ料金例

ネオマーケティング|調査を商品企画や施策へつなげる

ネオマーケティングは、定量・定性調査とともに、商品開発、コンセプトづくり、コミュニケーション設計、施策の実行に関する支援を案内しています。調査だけで完結せず、その結果を企画やマーケティング施策へつなげたい場合の候補になります。

相談時には、調査報告書の提出までか、コンセプト案の作成や施策への反映までかを分けて見積もってもらいます。一気通貫という表現だけで判断せず、各工程の担当者、自社が決めること、受け取る成果物を確かめることが大切です。

公式情報:ネオマーケティングの支援サービス

矢野経済研究所|産業別の市場構造と参入企業を調べる

矢野経済研究所は、産業別の市場調査レポートの発刊と、個別企業の課題に合わせた受託調査を行っています。産業分野ごとのリサーチャー・アナリストを配置し、市場動向や業界構造を調べるほか、顧客評価や流通チャネルなどの調査も案内しています。

新たな産業への参入を考え、業界の構造、主要企業、商流を把握したい場合は、既刊レポートと受託調査を使い分ける候補になります。まず目次や対象範囲を確かめ、既刊資料で分かることと、今回のために追加で調べることを切り分けましょう。大きな市場区分の数字を、そのまま自社が狙う市場規模として使わないことも重要です。

公式情報:市場調査資料受託調査

イノベーション総研|調査の問いを整理し、仮説検証・事業化へつなげる

イノベーション総研は、新規事業の構想、仮説検証、事業化を支援しています。新規事業立ち上げ支援では、顧客課題や収益モデルなどの仮説を整理し、何を確かめれば次へ進めるかを決める検証設計や、顧客テストの設計を案内しています。

「どの市場を調べるべきか決まらない」「専門家の話や市場データを集めたが、事業判断に落とし込めない」といった場合の相談先です。報告書の受領だけでなく、次の顧客検証や事業化まで支援を求める場合に検討できます。一方、回答の収集だけを大量に依頼したい場合は、調査専業会社やセルフ型サービスとも工程・費用を比較しましょう。

依頼時には、市場調査・エキスパートインタビューをどこまで任せるか、対象者の探索や実査を誰が担うか、どの記録・分析・検証計画を引き継ぐかを相談してください。単発のインタビュー料金と、検証・伴走支援の料金は分けて確認する必要があります。

公式情報:新規事業立ち上げ支援新規事業リスク診断「Compass」。対応可否・支援範囲・費用は無料相談で確認できます。

依頼する前に、調査後に何を決めるかを一文にする

会社を比較する前に、「この調査で何を決めるか」を一文にします。たとえば、「市場の可能性を知る」ではなく、「多店舗の飲食店向け発注支援サービスについて、店長と本部のどちらへの提案を優先するかを決める」と書きます。判断が具体的になると、聞く相手も、質問も、必要な成果物も変わります。

市場調査の全体像から整理したい場合は、新規事業の市場調査を進める4ステップも参考にしてください。ここでは、依頼先選びに直結する調査の切り分けを説明します。

公開情報で足りるなら、先にデスクリサーチを行う

統計、競合企業の料金表、業界団体の資料などで答えが得られる問いは、既存情報を使うデスクリサーチから始められます。自社で調べる時間がない場合や、専門的な読み解きが必要な場合は、その工程を調査会社へ依頼する方法もあります。

すでに分かっている情報を依頼先へ渡し、「追加で確かめたい点」を明示しましょう。同じ公開資料を集め直す費用を抑えられるだけでなく、既存資料の対象や時点が今回の判断に合うかも検討できます。進め方はデスクリサーチのやり方と記入例で詳しく解説しています。

困りごとの理由はインタビュー、広がりはアンケートで確かめる

なぜ困るのか、どの場面で困るのかが分からない段階では、具体的な経験を聞くインタビューが役立ちます。仮説が整理され、その課題を持つ人の割合や属性ごとの差を把握したい段階では、アンケートが選択肢になります。

ただし、アンケートで多くの人に聞けば市場全体を正確に表せるとは限りません。対象者の集め方や構成によって、結果が当てはまる範囲は変わります。インタビューで見つけた仮説をそのまま選択肢に押し込まず、該当しない回答や別の理由も選べる設計を相談します。

利用者と購入を決める人を分けて調べる

法人向けサービスでは、実際に使う人、導入を進める人、予算を承認する人が異なることがあります。利用者から高い評価を得ても、購入の条件まで確認できたとは言えません。

飲食店の発注支援なら、店長には日々の作業や例外対応を、本部には導入手続き、既存システムとの接続、費用の負担を聞く、と分けます。調査会社には業種や役職だけでなく、どの業務・意思決定を経験した相手が必要かを伝えましょう。質問の作り方はBtoB顧客インタビューの進め方で確認できます。

外部支援への不満から考える、調査会社選びの落とし穴

依頼内容を具体的にする重要性は、外部支援への不満にも表れています。イノベーション総研の新規事業に関する888名調査では、支援サービスの利用経験がある645名に、社外支援への不満や利用を見送った理由を尋ねました。次の図は、依頼先選びに関わる3項目を抜き出したものです。

外部支援への不満・利用見送り理由に挙がった項目

費用が高い36.6%(236名)
提案内容が一般論・テンプレート的26.5%(171名)
自社の業界・事業への理解が浅い24.2%(156名)
出典:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)。外部支援の利用経験者645名、複数回答。選定に関わる3項目を抜粋。

これは市場調査会社だけを評価した結果ではありません。また、掲載した3項目は上位3項目という意味ではなく、複数の理由を回答できます。ここからイノベーション総研が重視するのは、自社固有の問いに答える調査になっているかを確かめることです。

たとえば、依頼先との面談で「御社なら、当社の説明のどこを最初に疑いますか」と尋ねます。担当者が、対象者の違い、現在の代替手段、購入を妨げる条件などに踏み込めるかを見ます。見栄えのよいレポート例だけでは、この点を判断できません。

長尾は、新規事業の各段階で顧客へのヒアリング・検証を重視しています。この考えを調査の発注に当てはめると、調査会社の専門性を借りながらも、自社が顧客の言葉に触れ、次の検証を決められる進め方が重要になります。

たとえば、同席や録画の共有が許可される調査なら、自社担当者も一部に参加し、発言の前後関係を確認します。参加が難しい場合は、匿名化した発言記録と分析過程の説明を受ける方法を相談します。納品後に自社で検証を続ける予定なら、こうした学びの引き継ぎまで依頼範囲に入れましょう。

市場調査の依頼で、いま迷っていることはどれですか

近い状態を開くと、確認項目と参照先が分かります。

01 候補会社の違いが分からない

調査対象と得意なデータから候補を探します。

  • 誰に聞きたいか
  • 実際の購買データが必要か
  • 実物を使う調査か

8社の比較表へ →

02 何を頼めばよいか決まらない

調査の後に行う判断を一文にします。

  • 誰が判断するか
  • 何を決めるか
  • 今ある情報で足りない点は何か

依頼前の整理を見る →

03 提案が一般的で判断できない

自社固有の前提に踏み込めるかを確認します。

  • 誰が設計するか
  • 顧客の購入条件を理解しているか
  • 仮説に反する情報も残るか

5つの選定基準を見る →

04 見積もりの金額差が大きい

調査条件と自社が担う工程を揃えます。

  • 対象者の条件は同じか
  • 納品物は同じか
  • 追加費用の条件は明確か

費用の比較方法を見る →

05 調査会社への依頼文を作りたい

未確認の点も含めて同じ要件を伝えます。

  • 必要な対象者を説明できるか
  • 期限と予算を伝えたか
  • 自社の担当者が決まっているか

依頼文の記入例を見る →

06 調査後の検証を進められない

調査と事業づくりの役割を分けて相談します。

  • 何が未確認か
  • 次に誰と話すか
  • 実証を担う体制があるか

新規事業立ち上げ支援を見る →

調査の依頼内容を決める前に、事業のどこに不確実性が残っているか整理したい方は、新規事業リスク診断「Compass」をご確認ください。調査会社の選定を自動で行うサービスではなく、現在地を見直すための診断です。

NEXT STEP

次のステップ

調査を、次の顧客検証につなげませんか

何を調べるか迷う方は現在地の整理から。調査結果を使って仮説検証や立ち上げを進めたい方は、支援内容をご覧ください。

市場調査会社を選ぶ5つの基準

候補が決まったら、次の5点を同じ順番で質問します。回答を「対応できます」で終わらせず、対象者の条件、確認の方法、成果物の見本に落とし込むと、提案の違いが見えやすくなります。

1.対象者を集められるか

パネルの総数より、今回の条件に合う人へ到達できるかを確かめます。法人向けの特殊な業務や、利用者がまだ少ないサービスでは、登録者全体が多くても、希望する人数を集められるとは限りません。

「直近1年に購買へ関与した」「現在も該当業務を担当している」など、必要な条件と除外条件を伝えます。対象者の該当率は見積もり時点の想定なのか、事前確認の結果なのかも分けて聞きましょう。集まらない場合に条件を広げるなら、結果の使い道が変わるため、自社の承認を得て変更する運用にします。

2.担当者が業界と購買の流れを理解しているか

同業界の実績を尋ねるだけでなく、今回担当する人が、顧客の業務や購入の流れをどう理解しているかを確認します。営業担当者と実際の設計・分析担当者が異なる場合は、後者とも話せるように依頼します。

「このサービスは誰が反対しそうか」「使いたいと言われても導入されない理由は何か」と聞き、具体的な仮説を出してもらいます。過去案件の社名を開示できなくても、守秘義務に配慮した範囲で、似た課題への調査設計や、方法を変更した経験を説明してもらうことはできます。

3.回答品質を確かめられるか

回答を集めた後に、どのような基準で不適切な回答を除くかを確認します。たとえば、極端に短い回答時間、矛盾した回答、同一選択肢の連続などを、どう点検するかです。除外の判断は調査内容によって異なるため、一つの条件だけで機械的に決めない設計も必要です。

依頼時には、有効回答の定義、除外前後の件数、必要人数に届かなかった場合の対応を確認します。BtoBインタビューなら、応募時の属性だけでなく、経験した業務を事前に聞くなど、求める経験があるかを確かめる方法も相談しましょう。

4.納品物と説明の範囲が明確か

「レポート納品」の一言では、集計結果だけか、自社への示唆まで含むかが分かりません。質問文、集計表、匿名化した個別回答、インタビュー記録、分析の考え方、報告会の有無を分けて確認します。

特に、当初の仮説に合わなかった回答も残してもらうことが重要です。「導入したい人がいた」だけでなく、「どの条件では不要だったか」が分かると、対象顧客を絞れます。すべてのデータが必ず受け取れるとは限らないので、提供できない情報とその代替物も契約前に合意します。

5.機密情報と回答データの扱いを合意できるか

未公開の事業案や試作品を見せる場合は、誰がどこまで情報に触れるかを確認します。調査会社内だけでなく、募集や文字起こしの委託先、調査参加者への開示範囲も対象です。

録音・録画への同意、保管期間、アクセス権限、再利用、生成AIツールへの入力、終了後の返却・削除など、運用条件を事前に整理します。生の回答データを希望しても、本人同意や権利の範囲を超えて利用することはできません。具体的な契約・個人情報の取り扱いは、自社の法務・情報管理担当とも確認してください。

責任分担や終了時の引き渡しまで広く点検したい場合は、外部支援の契約前後に使う選び方チェックリストも併せて活用できます。

費用で市場調査会社を比較するときは、対象者と依頼範囲を揃える

市場調査の料金は、手法だけでなく、対象者の集めにくさ、質問数、必要な回答数、分析や報告の範囲で変わります。「アンケート1回」という単位では、見積もりを比べられません。まず公開料金で費用の構造をつかみ、そのうえで同じ条件の見積もりを依頼します。

公開料金の条件を確認する

GMOリサーチ&AIは、同じテレビ番組認知度調査について、依頼範囲別の料金例を公開しています。対象は全国の20〜69歳男女、回答1,000件、本調査30問、事前の絞り込み調査なし、という条件です。

同じ対象・設問数でも変わる、依頼範囲別の公開料金例
サービス 料金例(税別) 自社で担うこと・受け取るもの
アンケート代行 396,000円 自社で調査票を作成。画面作成・収集を依頼し、GT表とローデータを受領
サンプルサプライ(回答者提供) 276,000円 自社の調査画面へ回答者を誘導してもらう。提供会社からの納品物はなし
GMOマーケットオブザーバー(セルフ型) 226,000円 ツールで自社が工程を進める。提供会社からの納品物はなし

出典:GMOリサーチ&AI「ネットリサーチ料金例」(2026年9月9日確認)。いずれも公式サイト上の例であり、今回の案件の見積もりや業界全体の相場ではありません。

この例では、低い金額のプランほど自社で担当する工程が増えます。GT表は質問ごとの単純集計表、ローデータは個別の回答データを指します。これらを受け取ることと、事業上の判断を含む分析レポートまで依頼することも別です。外注費に加え、自社の設計・確認・分析に使う時間まで見て選びましょう。

見積もりの内訳と追加費用を揃える

複数社へ依頼するときは、同じ要件書を渡し、費用に含む工程と含まない工程を明記してもらいます。特に、対象者を集める難しさが見積もりの前提になっている場合は、前提が外れたときの費用と納期も確認します。

市場調査の見積もりで揃える工程と、追加費用の確認点
工程 基本料金に含むか確かめる内容 追加条件の例
調査設計 目的の整理、対象者の条件、調査票・質問項目の作成 設問変更、打ち合わせや修正回数の増加
対象者の募集 事前の絞り込み、有効回答の確保、参加者への謝礼 該当者が少ない場合の追加募集、当日欠席
調査の実施 画面作成、会場・配信、司会、録音・文字起こし 試作品の発送・回収、通訳、実施時間の延長
集計・分析 単純集計、属性別の比較、発言の整理、解釈 追加の切り口、別の分析手法、再集計
報告・引き継ぎ 報告書、データ、報告会、質問への回答 報告会の追加、社内会議用の資料、終了後の支援

納期も「最短何日」だけでなく、調査票の確定、募集、実施、集計、報告までの予定を並べます。自社の確認に時間がかかる工程も予定へ入れ、判断会議に間に合うかを確かめてください。

予算が足りないときは、判断に必要な範囲を絞る

見積もりが予算を超えた場合、最初に削るのは「今回の判断に使わない問い」です。全国の潜在需要を広く調べるより、最初に提案する顧客層の困りごとと購入条件に絞る、といった見直しを検討します。

一方で、必要な対象者の条件まで安易に緩めると、安く調査できても判断に使えなくなります。回答数を減らす場合も、全体傾向だけを見るのか、業種別・規模別まで比べるのかを確認します。小さく始める案と、追加調査が必要になる条件をセットで提案してもらいましょう。

市場調査の依頼文を作り、納品後の判断まで予定する

最後に、比較を実際の発注へつなげます。要件がすべて確定していなくても、分かっていることと未定の点を分ければ相談できます。未定の点を調査会社がどう整理するかも、選ぶための材料になります。

法人向けサービスの依頼文を作る

以下は、多店舗の飲食店向け発注支援サービスを検討する場合の架空例です。件数を先に固定せず、判断に必要な対象者の組み合わせと、提案してほしい範囲を示しています。自社の案件名や条件に置き換えて使ってください。

飲食店向け発注支援サービスの調査を依頼する記入例
伝える項目 依頼文の例
今回決めたいこと 初期の提案先を店長と本部のどちらに置くか、事業責任者が判断したい。
現在の仮説 発注作業に負担があると考えている。ただし、その原因と導入費用を負担する部署は未確認。
調べたい相手 多店舗の飲食店で現在発注を担う店長と、店舗システムの選定・導入に関わった本部担当者。役割を分けて話を聞きたい。
知りたいこと 直近の発注業務、負担が生じた場面、現在の対策、導入を検討する条件、意思決定の流れ。
提案してほしい範囲 対象者の集め方と確認方法、インタビュー項目、必要人数とその理由、実施・分析・報告までの工程。
必要な成果物 対象者の条件、匿名化した発言記録、共通点と相違点、当初の仮説に反する情報、次に確認すべき問い。共有できないデータは事前に示してほしい。
期限・予算 社内の判断会議は○月○日。報告後の検討時間を含めて日程を相談したい。予算上限は○万円(税別)で、含まれない費用も示してほしい。
自社の関与 担当者が一部のインタビューへ同席したい。可否と必要な同意を確認し、結果の解釈を一緒に整理する報告会を設けたい。

メール本文には、「上記の要件を満たす基本案と、対象・方法を変えた場合の別案を分けてご提案ください。基本案では分からないことも明記してください」と添えると、提案の前提を揃えやすくなります。予算が未定なら、承認を受けるために必要な概算と、金額を左右する条件を先に尋ねます。

提案は同条件で比較し、異なる前提は別案にする

比較の際は、金額順に並べる前に、対象者、依頼工程、成果物の条件が一致しているかを照合します。A社は導入の決裁経験者、B社は現場の利用者を対象としているなら、価格差は会社の高い・安いではなく、調べる内容の違いを含んでいます。

代替案を出してもらうこと自体は有益です。ただし、その案に変えると何を決められなくなるかを確認します。自社の判断に必要な条件を満たす提案を残し、担当者とのやり取り、説明の具体性、自社が負担できる作業量も踏まえて決めましょう。

調査結果から次の顧客検証を決める

報告会では、「何が分かったか」に加え、「どの顧客に、何を、次に確かめるか」を決めます。導入意向が高くても、予算、稟議、既存システムとの接続が未確認なら、すぐに販売計画へ置き換えず、対象企業との具体的な検証へ進みます。

発注支援サービスの例なら、「店長の作業負担は確認できたが、本部が費用を承認する条件は未確認」と整理します。次に、本部担当者へ現行業務・費用対効果の考え方を聞く、実際の発注業務で試作品を使ってもらう、といった行動を選びます。必要な情報が揃わなかった場合は、追加調査だけでなく、対象顧客や事業案を見直す選択肢も残します。

イノベーション総研の新規事業立ち上げ支援は、事業戦略から仮説検証・実証、立ち上げへ進めるための支援です。調査結果はあるが次の検証を進める体制がない場合には、調査会社へ任せる範囲と、自社の検証・実行を支える範囲を分けてご相談ください。

市場調査会社の比較でよくある質問

候補を絞る際に迷いやすい、会社の規模、費用、調査人数、役割の違いについて整理します。

Q. 市場調査会社は大手を選べば安心ですか?

A. 会社の規模は参考になりますが、今回の対象者を集められるか、担当者が業界を理解しているか、必要な成果物を受け取れるかで判断します。専門性が必要な案件では、その分野の調査経験や具体的な設計案も比較してください。

Q. 市場調査は、いくらから依頼できますか?

A. 統一された最低料金や相場はありません。回答者の提供だけか、設計・分析・報告までかで費用が変わります。公開料金を見るときは、対象者、質問数、回答数、税の扱い、納品物を確認し、自社の条件を伝えて見積もりを取ってください。

Q. 新規事業の調査では、何人に聞けばよいですか?

A. 判断したい内容と対象者の違いによって決まります。困りごとの理由を深く聞くインタビューと、割合や属性の差を調べるアンケートでは設計が異なります。人数を一律に決めず、その人数で何を言えて、何を言えないかを調査会社へ確認してください。

Q. 市場調査会社とコンサルティング会社はどう違いますか?

A. 市場調査会社は情報の収集・分析、コンサルティング会社は戦略や事業上の課題解決を中心に扱うことが多いものの、提供範囲は重なります。会社の呼び方より、設計、実査、分析、提案、実行のどこを任せ、何を納品してもらうかで比較します。

Q. 相見積もりは何社に依頼すればよいですか?

A. まず対応条件の合う候補を絞り、自社で提案を読み比べられる数に依頼します。2〜3社を起点にする方法もありますが、件数より同じ要件を渡すことが大切です。対象者や成果物が違う提案は、その差を整理してから比較してください。

まとめ|会社名より、調査で残す判断材料を揃える

市場調査会社は、調べたい相手、使いたいデータ、任せたい工程によって選び方が変わります。本記事の8社は候補を探す入口です。会社全体の知名度や価格だけでなく、今回の問いに答える担当者・設計・成果物を確認してください。

まず、「誰が、何を、いつ決めるための調査か」を一文にします。次に、対象者と納品物を同じ条件で伝えて見積もりを比較します。最後に、納品後の顧客検証まで予定しておく。この順番で進めると、調査を報告書で終わらせず、新規事業の次の判断へつなげられます。

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外部へ任せる範囲が決まらない、顧客の声を企画に落とし込めない、次の実証を進める体制がない。現在の資料や課題をもとに、次に確かめることを整理します。

ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

各社の公式情報は本文の会社紹介・料金例に掲載(2026年9月9日確認)。
独自調査:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)。対象は従業員1,000名以上の企業で新規事業に関与した方。掲載図は外部支援利用経験者645名の回答です。
依頼文と飲食店向けサービスの検討は説明用の架空例です。選定基準・実務例はイノベーション総研が作成しました。

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