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東レ、再生原料93%以上の複合繊維を開発 2027年秋冬向けに販売へ
ニュースの要点
東レは2026年10月15日配信の発表で、リサイクル由来の原料比率を93%以上に高めた、ポリエステルとナイロンの複合繊維を開発したと明らかにしました。衣料向けの機能と環境配慮を両立するため、両方の素材に再生原料を使います。
93%以上という数値は、原糸の重量に占めるリサイクル由来原料の割合です。使用後の製品が93%回収されることや、完成した衣服全体の93%が再利用できることを意味するものではありません。
同社はこの繊維を生地「ARTIROSA CX」に展開し、2027年秋冬向けに販売する計画です。初年度は20万メートルの販売を目指します。販売目標は確定受注ではなく、価格、量産時の歩留まり、環境負荷を通じて比較するLCAの数値は公表していません。
ニュース出典:東レ:リサイクル由来原料比率93%以上のポリエステル・ナイロン複合繊維を開発(2026-10-15)
イノベーション総研の考察
衣料に使う繊維は、原料の環境面だけでなく、触り心地、耐久性、加工のしやすさも求められます。複数の素材を組み合わせる製品では、一方を再生原料へ変えるだけで全体の品質が変わることもあります。今回の開発は、高い再生原料比率を、顧客が採用できる生地へつなぐ取り組みです。
93%は環境性能のすべてを示す数字ではない
原料比率は、どれだけ再生由来の材料を使ったかを説明する指標です。回収・輸送・製造で使うエネルギーや、製品の長持ちしやすさまでは、この一つの数字から分かりません。異なる製品を比較する際は、何を分母にした数字かもそろえる必要があります。
今回の93%以上は原糸の重量に対する比率です。イノベーション総研は、この数字を具体的な開発成果として評価しつつ、環境負荷が同じ割合で減るという説明へ飛躍させないことが重要だと考えます。
再生原料93%以上は原糸の構成を示す数字であり、回収率や二酸化炭素の削減率ではありません。
素材を変えても衣料としての採用条件は残る
アパレルメーカーは、環境面だけで生地を選ぶわけではありません。狙った風合いが出るか、洗濯後も品質を保てるか、必要な時期に納入できるかを合わせて判断します。新しい原料でこれらを維持できるかが、販売へ進む壁になります。
今回も、糸の開発から生地への展開には、織りや染め、仕上げなどの工程が関わります。特定の機能を最終製品でも実現できるかは、後工程や使い方に左右されます。開発した糸の特徴を、そのまますべての衣服の性能として説明することはできません。
素材の環境面を改善しても、顧客が求める風合い・耐久性・納期を満たして初めて採用につながります。
2027年秋冬の販売には量産の再現性が必要
開発段階で性能が出ることと、異なる時期に仕入れた再生原料でも同じ品質を出せることは別です。今回の試作品で確認した性能と、量産でまだ未検証の品質再現性を分けます。原料のばらつきに対応しながら安定供給するには、受け入れ検査や工程条件を整える必要があります。
初年度20万メートルという目標は、売り先や供給体制を考える規模の目安になりますが、採算の証明ではありません。今後は、実際の受注、納期、用途別の継続採用が示されるかを確認します。量を増やすほど検査や不良対応の費用が増える可能性もあります。
事業化の節目は試作品の完成だけでなく、原料が変わっても同じ品質と納期を再現できることです。
新素材事業では原料の買い手と製品の買い手をつなぐ
再生原料の供給元、繊維を作る会社、生地の加工会社、衣料ブランドでは、それぞれ求める条件が異なります。どこか一社の改善だけでは、完成品の採用まで進まない場合があります。誰が品質の最終確認をするかも明確にしたいところです。
自社で循環型の素材事業を進める場合は、原料の確保と同時に、採用候補の顧客が受け入れる品質と価格を確認する方法が有効です。今回の次の観測点も、環境面の説明に加え、どの製品で販売が始まり、繰り返し使われるかになります。
新素材の販売は原料を集めるだけでは進まず、最終顧客が受け入れる品質と価格から逆算する必要があります。
まとめ
東レの開発は、再生原料の比率を高めながら衣料向けの品質を保つ挑戦です。93%以上という数字だけで環境効果のすべては判断できません。2027年秋冬の販売に向け、量産の再現性と、顧客が受け入れる価格・品質を満たせるかを確認したい事例です。
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