投稿日:2026.10.01 最終更新日:2026.10.01
NTTデータ、地域企業のセキュリティ支援を実証 最大80社を予定
ニュースの要点
NTTデータは2026年10月1日、地域の中小・中堅企業を対象に、サイバーセキュリティ対策を支援するモデルの実証を始めると発表しました。10月から1年間、地域金融機関や商工会議所などと連携し、最大80社の参加を予定します。
企業の対策状況を共通基準で示す「SCS評価制度」への対応と継続的な対策の改善を支援することが目的です。参加企業には、現状診断、改善計画、対策を示す規程や記録の整備、申請準備、専門家による確認を無償で提供します。
地域金融機関などが企業への働きかけとフォローを担い、NTTデータの知見やAIを使う基盤と組み合わせます。AIで書類の不備などを確認したうえで、専門家が内容を確認します。制度の評価取得を保証するサービスではありません。
ニュース出典: NTTデータ/原題「SCS評価制度を起点とした地域企業のサイバーセキュリティ支援モデルの実証開始」/公開日:2026年10月1日/公式発表
イノベーション総研の考察
取引先とデータをつなぐ企業では、自社だけが対策しても、取引先を通じたリスクは残ります。一方、小規模な企業ほど専門人材を置きにくいという問題があります。今回の実証は、対策ツールを売るだけでなく、地域の接点と専門家をつないで改善を続ける方法を試すものです。
銀行の接点と、セキュリティの専門性は別の役割を担う
制度への対応が必要だと分かっても、誰に相談し、何から直すかが分からなければ、改善は始まりません。日常的に経営者と接する金融機関や商工会議所は、相談を始める入口になれます。一方、具体的な対策や記録の確認には専門家が必要です。
今回のモデルは、その役割を分けて組み合わせます。銀行の顧客へ単に製品を紹介する方法とは異なり、改善までつなぐ支援を設計しています。ただし、地域の接点があるだけで参加や継続が保証されるわけではありません。誰が次の対応を促すかを、運用で確かめる必要があります。
地域向け事業では、顧客へ届く接点と、課題を解く専門性を分けて組み合わせることが重要です。
今回初めて確かめたいのは、地域が変わっても支援が回るか
SCS評価制度は、対策状況を共通基準で評価し、見えるようにする仕組みです。IPAの制度案内でも情報が公開されています。本記事は、制度への適合や申請の法的判断を助言するものではありません。
今回の実証で見るべきなのは、共通基準があることより、企業ごとに異なるIT環境を改善へつなげられるかです。参加企業数や評価取得数に加え、改善を完了する割合、必要な専門家工数、途中で止まる理由を確かめたいところです。詳細な評価指標は公表されていません。
支援モデルの実証では、成果の件数だけでなく、異なる企業へ同じ品質を届ける工数を測る必要があります。
AIが減らすのは、判断そのものより申請準備の手戻り
発表で示されたAIの役割は、書類の抜け漏れ、形式上の不備、対策を示す記録の不足などを事前に確認することです。その後、専門家が確認します。AIが攻撃を防ぎ、評価取得まで自動で保証する仕組みではありません。
この分担は、新規事業でAIを使う際の参考になります。すべてを自動化するのではなく、繰り返しの確認を支え、人が判断すべき箇所へ時間を回す方法です。ただし、AIの誤りによって修正が増えれば効果は小さくなります。専門家の確認時間が実際に減り、品質が維持できるかを比べる必要があります。
AI活用の効果は、自動化した項目数より、専門家の手戻りを減らしながら品質を保てるかで判断します。
無償実証の参加と、有償事業の需要は分けて考える
参加企業への支援は無償です。そのため、参加数が増えても、継続して費用を払う需要が証明されたことにはなりません。対象企業、発注企業、金融機関など、誰が効果を受け取り、費用を負担するかは今後の論点です。
実証中に、企業側の作業量と支援者側の工数を記録すると、継続に必要な料金や支援範囲を考えやすくなります。制度への申請だけで終わるのか、その後の運用も支えるのかでも費用は変わります。NTTデータの治験検索サービスと同様、情報処理の機能に加え、人が担う業務の境界が採算を左右します。
無償実証では、利用の意欲だけでなく、継続に必要な工数と費用の負担者を確認したいところです。
次は、取得後の改善と支援の継続を観測する
今後は実際の参加数、改善の完了、評価取得に向けた準備負担、取得後のフォローを追います。NTTデータは将来、金融機関の事業性評価や融資などとの連携も検討しますが、融資商品を開始したという発表ではありません。
自社への示唆は、制度対応を一度だけの作業にせず、継続運用までの顧客行動を設計することです。NECの設備情報管理サービスも、導入後の更新が価値を保つ点で参考になります。次の投資判断には、評価を取得した後も改善が続くという証拠が必要です。
実証の次の判断材料は、申請を終えた企業数ではなく、その後も改善と支援が続くかです。
まとめ
今回の実証は、地域金融機関などの顧客接点、AIの確認機能、専門家の伴走を組み合わせます。事業化に向けては、支援品質と工数を測り、無償実証後の継続条件を明らかにする必要があります。
執筆:イノベーション総合研究所
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無償実証の先の継続モデルを考える
支援工数、効果、費用の負担者を整理し、事業化を検討します。