投稿日:2026.09.03 最終更新日:2026.09.11
新規事業企画書テンプレート|検証計画を整理する5項目と記入例
新規事業のアイデアを企画書にまとめる段階では、顧客数、価格、売上など、まだ確認できていないことが多くあります。未確認の数字を細かく埋めても、経営層や部門長は「いま何を決めればよいか」を判断できません。
新規事業企画書は、事業全体を確定する資料ではなく、次の検証に必要な予算・工数・権限を判断してもらう資料です。 顧客と課題の仮説、取り組む理由、検証方法、結果別の判断、今回の依頼を一つの流れにします。
この記事では、社内の新規事業を想定し、そのまま目次に使える5項目のテンプレート、各項目の書き方と架空の記入例、作成順序、提出前チェックを解説します。
この記事のポイント
- 1枚目に、事業の全貌ではなく今回の判断事項を置く
- 本文は「仮説」「なぜ今・なぜ自社」「検証計画」「判断基準」「お願い」の5項目で構成する
- 確認済みの事実、未確認の仮説、今回の判断を分ける
- 検証後に得る証拠と、継続・変更・追加検証・中止の条件を対応させる
目次
新規事業企画書とは|事業計画書との違いを判断対象で分ける
企画書と事業計画書の違いは、名称やページ数ではなく、会議で求める判断にあります。企画書は、顧客と課題などを確かめる小さな活動について承認を求める資料です。事業計画書は、検証で得た顧客証拠、収益とコスト、提供体制、リスクを基に、事業化や次の資源配分を判断する資料です。
次の表では、二つの資料を同じ観点で比べます。
| 比較する観点 | 新規事業企画書 | 事業計画書 |
|---|---|---|
| 主な段階 | 構想、顧客探索、初期検証 | 限定提供、事業化、拡大 |
| 会議で求める判断 | 検証を始めるか | 事業化や追加投資へ進むか |
| 中心となる材料 | 仮説、確認済みの事実、検証計画、判断基準 | 顧客証拠、事業の仕組み、数字、リスク、体制 |
| 数字の扱い | 検証費用・工数・期間と、前提付きの将来像 | 売上・コスト・投資・回収を算出根拠付きで示す |
| 依頼する内容 | 顧客接触、担当者の稼働、検証予算、必要な権限 | 事業化投資、実行体制、次の判断ゲート |
企画書の段階で長期収支を確定値のように見せると、事実と仮説の境界が分かりにくくなります。一方、事業化を判断する段階で検証計画だけを示しても、継続的に提供できるかは判断できません。現在の段階と今回の依頼をそろえることが出発点です。
資料名が社内で決まっている場合でも、内容は判断段階に合わせます。「新規事業計画書」という名称でも、求める判断が顧客インタビューの実施許可なら、中心に置くのは精緻な5年収支ではなく、確認したい仮説、対象、方法、費用、終了後の判断です。反対に、すでに有償提供の条件や運用体制を確認し、事業化投資を求めるなら、企画書という名称でも事業計画に必要な数字と実行条件を示します。
迷ったときは、会議後に起きる行動を一文にしてください。「顧客候補への接触を始める」「限定的な試用を実施する」なら企画書の範囲、「販売体制を組み、本番提供を始める」なら事業計画の範囲です。この区分によって、資料に必要な根拠と数字の精度が決まります。
検証後に事業化の判断へ進む場合は、公開済みの事業計画書の書き方で、結論から必要資源と次の判断点までの6章を確認できます。
新規事業企画書テンプレート|5項目の全体像

企画書の本文は、次の5項目で構成します。項目を独立した説明にせず、1の仮説を3で確かめ、4で結果を判断し、その実行に必要な資源を5で依頼する関係にします。
| 項目 | 書く内容 | 読み手が確認すること | 完了の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 顧客と課題の仮説 | 誰の、どの状況に、どの課題があると考えるか | 検証する問いが具体的か | 事実・仮説・反証を分けられる |
| 2. なぜ今・なぜ自社 | 環境変化、自社資産、全社方針、対象外 | 今取り組む理由と自社が担う理由があるか | 顧客の変化と自社資産を一文でつなげられる |
| 3. 検証計画 | 仮説、対象、方法、証拠、費用、期間、担当 | 投じる範囲と得る情報が対応しているか | 終了時に仮説を更新できる |
| 4. 判断基準 | 支持・反証・証拠不足の条件と結果別の行動 | 結果を見た後に基準が動かないか | 継続・変更・追加検証・中止を選べる |
| 5. 今回のお願い | 予算、工数、権限、協力、対象外、次の判断日 | 今日、誰が何を決めるか | 承認範囲と含めない将来投資が分かれる |
この5項目は、そのままスライドや社内様式の目次にできます。1枚目には、事業の一文定義、現在地、今回の判断依頼、必要資源、次の判断日をまとめます。読み手は最初に判断の大きさを把握し、後続の項目で根拠を確認できます。
1枚目に置く結論のテンプレート
1枚目は、資料全体の要約ではなく、会議で扱う判断の入口です。次の順に短く書きます。
- 対象顧客と課題の仮説
- 現時点で確認できている事実
- 次に確かめる仮説と検証方法
- 今回必要な予算・工数・権限
- 今回の承認に含めない範囲
- 結果を報告し、次を判断する日
一文にまとめる場合は、次の型を使えます。
> 「対象顧客は、特定の状況でこの課題を抱えている」と考える。現時点ではこの事実を確認しているが、この条件は未確認である。そこで、対象と方法を限定した検証のために、期間、担当、費用、権限の承認をお願いしたい。結果は判断日に報告し、定めた基準に沿って次の行動を選ぶ。
「大きな市場を狙う」「新しい価値を創出する」だけでは、会議で決める対象が残りません。最初に依頼を示し、その後に5項目を根拠として配置すると、読み手は資料の途中でも、何の判断材料を読んでいるかを見失いにくくなります。
イノベーション総研が新規事業に関わった888名へ実施した調査では、稟議・投資判断で有効だった材料として「ROI・費用対効果」が最も多く挙げられました。
ただし、この結果だけで個別案件に必要な材料は決まりません。企画段階でROIが未確認なら数字を作り込まず、今回の検証費用によって何を確認し、どの将来判断に使うかを書きます。
NEXT STEP
次のステップ
企画書の空欄を、次に確かめる問いへ変える。
顧客課題、検証方法、判断基準、依頼範囲のどこが未整理かを確認できます。
企画書1|顧客と課題の仮説を書く
最初に書くのは商品名ではなく、対象顧客と課題の仮説です。「誰が、どの状況で、何に困っていると考えるか」「何を提供すると、その状況を変えられそうか」を一文にします。
仮説の欄に書く項目
- 対象顧客の属性と業務上の役割
- 課題が起きる具体的な状況と頻度
- 現在の手順、代替手段、何もしない選択
- 提供できそうな価値
- 確認済みの事実、未確認の仮説、反証された仮説
- 今回は対象にしない顧客や利用条件
「市場には需要がある」のような大きな主語を避け、誰に何を確認したかが分かる粒度へ落とします。顧客が「便利そう」と話したことと、実際の手順を見せた、試用した、社内の購入条件を説明したといった行動も分けます。
企画書では、情報の確信度を次のように整理します。
| 区分 | 企画書への書き方 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 確認済みの事実 | 対象、確認方法、確認日、観測した発言・行動を書く | 仮説と検証方法の前提に使う |
| 未確認の仮説 | 「〜と考える」とし、推測の根拠を添える | 誰に、どう確かめるかを決める |
| 反証された仮説 | 支持されなかった条件と観測結果を書く | 対象・課題・価値のどこを変えるか選ぶ |
| 今回の判断 | 事実と仮説から、何を先に検証するかを書く | 3の検証計画へ接続する |
確信度を分ける目的は、弱く見せることではありません。今回の承認によって更新する仮説を特定することです。アイデアを顧客課題、自社資産、環境変化から整理する場合は、公開済みの新規事業アイデアの考え方も参照できます。
顧客情報を企画書へ転記するときの注意点
面談メモをそのまま並べるのではなく、観測した内容と作成者の解釈を分けます。たとえば「月末は二日かかる」という発言は確認した事実ですが、「費用を払ってでも短縮したい」は、その発言だけでは確認できていない仮説です。発言者の役割、確認日、対象業務、前後の条件を添えると、別の読み手も根拠を確認できます。
顧客名を社内資料へ記載できない場合でも、「既存取引先3社」のような件数だけに置き換えず、業種、規模、回答者の役割、選定条件を記録します。対象の選び方が分からなければ、その証拠を別の顧客群へ当てはめてよいか判断できません。個人情報や秘密情報は社内規程に従って管理し、企画書本文には判断に必要な範囲だけを載せます。
また、課題の強さを形容詞だけで表さないことも重要です。「非常に困っている」ではなく、現在の作業、発生頻度、関わる人数、遅延や手戻り、代替手段を記載します。定量値を取得できていないなら空欄を推測で埋めず、次の検証で確認する項目に移します。
架空の記入例
以下は書式を示す架空例であり、実在の企業・顧客・成果を表すものではありません。
> 複数拠点の月次報告を集約する管理部門では、締切前に形式の異なる資料を手作業で照合していると考える。社内の一部部門で手順と負担箇所を確認した一方、他社でも同じ課題があるか、運用を変更する意思があるかは未確認である。まず既存取引先の同じ役割へ現在の手順を確認し、対象顧客と課題の仮説を更新する。
この例では、対象、状況、確認済み、未確認、次の行動が一続きになっています。「業務を効率化するサービス」のように対象と状況が広い表現だけで終えません。
企画書2|なぜ今・なぜ自社を書く
顧客課題がありそうでも、他の案件より先に取り組む理由と、自社が担う理由は別に必要です。環境の変化と自社資産を並べるだけでなく、「変化によって顧客の何が変わり、自社資産がどこへ使えるか」をつなげます。
なぜ今・なぜ自社の欄に書く項目
- 顧客行動、技術、規制、競争環境などの変化
- 変化によって生じる顧客の課題や選択条件
- 活用できる技術、顧客接点、データ、販売・提供基盤
- 自社資産を使うために不足する条件
- 中期経営計画や事業方針のどこに位置づくか
- 今回は対象に含めない顧客、地域、機能、投資
「市場が伸びている」「自社に技術がある」という二つの文だけでは、顧客への接続が分かりません。次の順で一文にします。
> 環境の変化 → 顧客の状況・選択の変化 → 活用できる自社資産 → 今回確認する不足条件
架空の記入例
> 顧客側で拠点横断の報告頻度が増え、従来の集約作業では締切前の負担が増える可能性がある。自社には対象業務を理解する既存顧客との接点と、情報処理に使える技術資産がある。一方、顧客が運用を変更する条件は未確認であるため、既存取引先の国内拠点に対象を限定して確認する。海外拠点と本開発は今回の範囲に含めない。
「対象外」を書くと、今回の承認が将来どこまで広がるかを読み手が把握できます。将来構想を小さくするためではなく、現在判断する範囲と後で判断する範囲を分けるためです。
自社資産は、保有しているだけで優位性になるとは限りません。顧客課題の解決にどう使うか、利用する権利があるか、他部門の協力が必要か、追加で獲得すべき能力は何かまで確認します。たとえば技術を保有していても、対象業務へ適用できる精度、提供時の運用、顧客データの取り扱いが未確認なら、それぞれを仮説として置きます。
中期経営計画との整合性も、方針の文言を引用して終えません。どの重点領域へ寄与するか、既存事業と顧客・技術・販売経路の何を共有するか、既存部門と競合する可能性はあるかを示します。企画の位置づけと、検証結果が全社の次の判断へどう使われるかがつながれば、「なぜ自社」の説明になります。
企画書3|検証計画を最小単位で書く
検証計画では、企画のすべてを一度に証明しようとせず、事業判断への影響が大きく、現時点の確信が低い仮説を選びます。方法・対象・得る証拠・費用・期間・担当を一組にします。
検証計画の欄に書く項目
- 今回確かめる仮説と、優先する理由
- 対象者の条件と選定理由
- インタビュー、観察、提案、試用などの方法
- 取得する発言・行動・記録
- 必要な予算、役割別の工数、期間、権限
- 検証によって更新する数字や事業条件
- 終了日、結果をまとめる担当、判断日
「市場性を検証する」「顧客の反応を見る」だけでは、終了時に何が分かるかを判定できません。対象と問いを限定し、記録方法まで決めます。顧客の過去行動や組織内の導入条件を確認する方法は、公開済みのBtoB顧客インタビューの進め方で確認できます。
次の表の各列を1行で埋めると、検証と判断をつなげやすくなります。
| 検証する仮説 | 対象・方法 | 得る証拠 | 必要資源 | 終了後の判断 |
|---|---|---|---|---|
| 何が真かを確かめるか | 誰に何を依頼するか | どの発言・行動・数値を残すか | 予算、工数、期間、権限 | 支持・反証・証拠不足で何を選ぶか |
検証費用は、支出項目だけでなく、何を確認できるかと対応させます。将来の事業全体の投資額と、今回の検証だけに必要な費用は分けます。
検証方法は仮説の種類から選ぶ
検証方法を先に「PoC」や「プロトタイプ」と決めるのではなく、未確認の仮説に合わせます。課題の有無や現在の手順が未確認なら、業務観察やインタビューで事実を集めます。価値の伝わり方を確かめるなら、提案文、画面例、簡易な試作品を使って反応だけでなく次の行動を確認します。技術条件が不明なら、入力条件と評価方法を限定した技術検証を設計します。
一つの検証へ複数の問いを詰め込むと、どの結果がどの仮説を更新したか分からなくなります。少なくとも「顧客に課題があるか」「提案した価値を選ぶか」「技術的に実現できるか」「継続提供できるか」は分けて扱います。相互に依存する場合は、先に否定されたとき後続の検証が不要になる仮説から確認します。
検証記録には、実施件数に加え、対象条件、依頼した行動、実際に起きた行動、想定外の反応、未取得の情報を残します。予定数をこなすこと自体を完了条件にせず、判断基準に必要な証拠を取得できたかで終了を判断します。
架空の記入例
> 今回確かめるのは、月次報告を集約する担当者が、現行手順を変更してでも照合作業を減らしたいと考えるかである。既存取引先の該当部門に、現在の手順の説明と実演を依頼し、負担が生じる工程、代替手段、変更時の関係者を記録する。承認範囲は顧客接触と仮説更新までとし、試作開発は次の判断に分ける。
この例では、開発することを検証と呼んでいません。顧客課題が未確認なら、先に課題と変更条件を確認し、その結果に応じて試作の要否を判断します。
企画書4|検証前に判断基準を決める
判断基準は、結果が出てから意味を決めるのではなく、検証前に置きます。仮説を支持する証拠、反証する証拠、判断に足りない状態を分け、それぞれで次に何を行うかを決めます。
判断基準の欄に書く項目
- 仮説を支持すると判断する顧客の発言・行動・数値
- 仮説を反証すると判断する事実
- 証拠が不足した場合に追加で確認する内容と期限
- 継続、条件変更、追加検証、保留、中止の選択肢
- 判断者、判断日、必要な参加者
- 基準を変更する場合の理由、承認者、適用時点
基準は案件ごとに設計します。一律の顧客数や金額を置くのではなく、今回の仮説を判断できる証拠を定義します。継続条件だけを具体的にし、中止条件を「総合的に判断」とすると、結果を見た後で基準が動きます。
判断基準は、数値だけでなく条件の組み合わせで書けます。たとえば面談数だけを基準にすると、対象外の人へ多数聞いた場合も達成したように見えます。「対象条件に合う担当者が、同じ負担工程を説明し、次の試用に必要な関係者を紹介する」のように、対象・観測内容・次の行動を組み合わせます。
証拠不足を反証と同一にしない点にも注意します。対象者へ接触できなかった、質問が誘導的だった、試作品が意図どおり動かなかった場合は、仮説が否定されたのではなく、判断できる証拠を取れていない可能性があります。追加検証を認める条件と上限を事前に置けば、証拠不足を理由に検証を無期限に続けることも避けられます。
基準を途中で変える必要が生じた場合は、変更前の基準、得られた事実、変更理由、承認者、変更後の適用範囲を記録します。仮説更新に伴う合理的な変更と、望ましい結果に合わせた後付けを区別できる状態にします。
架空の記入例
> 継続の条件は、対象者が負担工程を具体的に示し、運用変更の検討に必要な関係者を挙げられること。条件変更は、負担は確認できるが対象部門が想定と異なる場合。追加検証は、手順を確認できず証拠が不足した場合。中止は、対象条件を見直しても課題を確認できず、次に確かめる仮説がない場合とする。判断者と判断日は企画承認時に決める。
撤退だけでなく、条件付き継続や方向転換を同じ粒度で設計する場合は、公開済みの新規事業の撤退基準も参考になります。
企画書5|今回のお願いを具体化する
最後に、今日の会議で承認してほしいことを明記します。予算だけでなく、担当者の稼働、顧客へ接触する許可、社内データへのアクセス、協力部門の参加など、検証を始めるために必要な資源と権限を含めます。
お願いの欄に書く項目
- 承認してほしい予算と使途
- 必要な役割、担当者、稼働時間
- 顧客接触や社内情報へのアクセス権限
- 営業、技術、法務など協力部門への依頼
- 今回の承認に含めない開発・事業化投資
- 検証結果の報告日と次の判断者
「ご意見をいただきたい」では、会議後の行動が定まりません。「誰に、何を、どの期間について判断してほしいか」を一文にします。将来必要になり得る投資を示す場合も、今回の承認範囲とは欄を分けます。
依頼する資源は、金額だけでなく「誰の時間を、いつ、どの目的で使うか」まで書きます。たとえば営業部門には対象顧客の候補選定と紹介、技術部門には技術条件の確認、法務部門には情報の取り扱い確認を依頼します。担当部門名だけではなく、実施時期と想定工数を添えると、承認後の調整事項を減らせます。
費用は、今回の検証費用、次の段階で必要になり得る費用、事業化後の概算を分けます。三つを合計して一度に承認を求めるのではなく、現時点で判断できる範囲を明確にします。外部委託がある場合は、委託する作業、社内に残す判断、成果物、情報管理、途中で止める条件も記載します。
承認者が複数いる場合は、最終承認者だけでなく、予算、顧客接触、データ利用、人員配置の各権限を誰が持つか確認します。一つでも欠けると検証を開始できない権限は、参考情報ではなく「今回のお願い」に含めます。
架空の記入例
> 今回お願いするのは、既存取引先の該当部門への接触許可、起案者と補助担当者の稼働、訪問と記録に必要な費用である。今回の承認には、試作の本開発、外部販売、事業化投資を含めない。検証結果は合意した判断日に報告し、継続、条件変更、追加検証、中止を改めて判断する。
この一文を1枚目にも置きます。最初の仮説と最後のお願いが対応していれば、読み手は今回の判断から根拠へたどれます。
新規事業企画書を作る順番と更新方法
企画書は1から5まで読む構成にしますが、作成は確認済みの情報から始めます。先に大きな結論を固定すると、後から得た証拠を都合よく当てはめやすくなるためです。
実務では、次の順で作成します。
| 作成順 | 整理する内容 | 主な入力 | 完了の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 顧客と課題の事実・仮説 | 面談、業務観察、社内記録、公開情報 | 確認済み・未確認・反証を分けられる |
| 2 | なぜ今・なぜ自社 | 環境変化、自社資産、全社方針 | 顧客の変化と自社資産をつなげられる |
| 3 | 検証計画と判断基準 | 優先仮説、対象、方法、証拠 | 結果別の行動を検証前に決められる |
| 4 | 今回のお願い | 費用、担当、稼働、権限、協力部門 | 検証を始める条件がそろう |
| 5 | 1枚目の結論 | 1〜4で整理した判断材料 | 今回の判断依頼を一文で説明できる |
承認後は、企画書を実行管理にも使います。活動件数だけでなく、得られた証拠、反証された仮説、変更した対象、次の判断を記録します。検証を終えたら、事前に決めた基準に照らして次の行動を選びます。
次の段階へ進む場合は、確認できた事実を企画書へ反映し、新しく残った仮説と投資単位を置きます。段階ごとに証拠と判断を更新する方法は、公開済みのステージゲート法でも整理しています。
複数人で作成する場合、顧客、技術、財務、運用など各項目の根拠担当を分けても、資料全体の整合に責任を持つ人は一人にします。対象顧客、提供範囲、検証条件、費用、判断日の正本を一か所に置き、変更日と理由を残します。
更新時は、文章全体を上書きして変化を消さないようにします。少なくとも版、更新日、更新者、変更した仮説、新しく得た証拠、判断への影響を記録します。前回の判断時点で未確認だった内容が、どの活動によって確認・反証されたかを追える形にします。
会議資料と検証記録を別ファイルにする場合は、企画書から根拠の保存場所と対象版を特定できるようにします。古い面談集計や収支計算が添付されたままだと、本文と根拠の前提がずれます。次の判断前に、顧客条件、価格前提、費用、日付の一致を確認してください。
新規事業企画書の提出前チェック

提出前は文章の見栄えより、仮説からお願いまで同じ前提でつながっているかを確認します。作成者以外の人にも読んでもらい、今回の判断と次の行動を同じように説明できるか確かめます。
5項目のつながりを確認する
- 対象顧客、状況、課題を一文で説明できるか
- 確認済みの事実、未確認の仮説、反証された仮説を分けたか
- なぜ今・なぜ自社を、顧客の変化へ接続したか
- 今回確かめる仮説を限定したか
- 検証対象、方法、得る証拠、費用、期間、担当が対応しているか
- 支持・反証・証拠不足で取る行動を決めたか
- 今回承認してほしい予算、工数、権限を書いたか
- 承認に含めない将来投資と次の判断日を示したか
たとえば顧客課題を確認する企画なのに、本開発費まで求めていれば、仮説とお願いの範囲が一致していません。反対に、試用条件まで確認済みなのに対話だけを続ける計画なら、次に確かめる不確実性を見直します。
数字と根拠を確認する
市場規模、価格、将来売上を置く場合は、出典、算出方法、情報の時点、確認状態を添えます。企画段階では幅のある仮説でも構いませんが、どの値を今回の検証で更新するかを明記します。
検証費用には、支出先だけでなく得る証拠を対応させます。費用・工数・期間が検証計画とお願いの欄で一致しているか、複数の資料へ同じ数字を手入力していないかも確認します。
読み合わせで3つの質問に答えてもらう
作成者以外の人に、次の3点を説明してもらいます。
- 今回、誰に何を判断してほしい資料か
- 承認されたら、誰が何を確かめるか
- どの証拠が得られたら、次に何を選ぶか
回答が分かれる箇所は、説明を増やす前に、1枚目、判断基準、お願いの表現をそろえます。本文には主要な仮説・根拠・判断を残し、面談記録や詳しい計算は参照先を明記して別紙へ分けます。
会議の進め方も企画書とそろえる
会議では、最初に今回の判断事項と承認範囲を確認し、その後に顧客と課題、取り組む理由、検証方法、判断基準の順で根拠を見ます。最後に、承認する内容、条件、保留事項、担当、期限、次の判断日を読み上げます。説明時間がなくなって依頼だけ曖昧になることを防ぐため、議題の順番も5項目に合わせます。
質問と回答は、本文の表現をその場で無理に変えるのではなく、追加確認が必要な仮説、承認条件、次回までの宿題に分けて記録します。会議後は承認された範囲だけを実行計画へ移し、条件付きの事項を確定事項として扱わないようにします。企画書、議事記録、検証計画の担当・費用・期限が一致していることを確認してから開始します。
新規事業企画書テンプレートに関するよくある質問
ページ数、作成形式、数字、顧客証拠、差し戻しへの対応について、実際にテンプレートを使うときに生じやすい疑問を整理します。
本記事のまとめ|5項目を一つの検証判断へつなげる
新規事業企画書は、事業の全貌を確定する文書ではありません。次の検証に必要な予算、工数、権限を判断してもらう文書です。
本文は、次の5項目で構成します。
- 顧客と課題の仮説
- なぜ今・なぜ自社
- 検証計画
- 判断基準
- 今回のお願い
確認済みの事実、未確認の仮説、反証された仮説を分け、検証で得る証拠と結果別の行動を対応させます。お願いの欄では、今回の承認範囲と将来の事業化投資を分け、誰がいつ次を判断するかまで書きます。
作成は、顧客と課題の事実・仮説、なぜ今・なぜ自社、検証計画と判断基準、今回のお願い、1枚目の結論の順で進めます。提出前に、作成者以外の人が「今回の判断」「承認後の行動」「次の判断条件」を同じように説明できるか確認してください。
まず5項目の見出しだけを置き、各欄を「確認済み」「未確認」「次に確かめること」に分けるところから始めましょう。
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