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マツダと矢崎総業、配線生産の自動化へ 新型CX-5に初採用
ニュースの要点
マツダと矢崎総業は2026年10月15日、車内の電気配線を束ねた部品「ワイヤーハーネス」の生産を見直す共同開発の成果を、新型「MAZDA CX-5」に初めて採用したと発表しました。生産の自動化と車両工場に近い場所からの供給を進めるため、設計と製造工程を一体で変えました。
両社は2022年初頭から共創を開始しました。新型車では、従来のCX-5に比べてワイヤーハーネスの品種数を約80%減らしたとしています。この数字は品種数の削減率であり、人員や製造費を80%減らしたという意味ではありません。
山口県美祢市の拠点で最終組み立てを自動化し、広島県と山口県にあるマツダの車両工場へ供給する体制を整えます。今後はほかの新型車への展開も進める方針です。
ニュース出典:マツダ:マツダと矢崎総業、ワイヤーハーネス生産の近場化・自動化に向けた共創の成果を新型「MAZDA CX-5」に初採用(2026-10-15)
イノベーション総研の考察
ワイヤーハーネスは、車両の各部へ電力や信号を届ける配線の束です。車種や装備によって形や分岐が変わり、組み立て方も複雑になります。今回の提携は、既存の作業をそのまま機械に置き換えるのではなく、作業を難しくする設計側の要因にも手を入れています。
自動化しにくい原因を部品設計へ戻した
品種が多ければ、部品の用意、作業の切り替え、品質確認も複雑になります。ロボットを導入しても、少量ずつ違うものを作る仕組みが残れば、その都度の調整が必要です。
両社は2022年初頭から取り組み、新型CX-5で品種数を約80%減らしたと説明しています。イノベーション総研は、この削減が自動化の前提を整える役割を持つと考えます。ただし、削減率だけで生産性向上の大きさまでは計算できません。
自動化の出発点を設備選びではなく、作り分けを減らす設計変更に置いたことが、この事例の特徴です。
車両メーカーと部品メーカーの境界を越える必要があった
部品メーカーだけで製造工程を改善しても、車両側から多数の仕様を求められれば限界があります。逆に、車両メーカーだけで設計を共通化しても、加工や組み立てに無理があれば品質を保てません。
マツダが車両設計を、矢崎総業が配線部品と製造技術を持ち寄ることで、双方の制約を同時に扱えます。共同開発を検討する読者にとっては、相手の技術を買うだけなのか、自社の仕様決定まで変えるのかを分ける参考になります。
供給先の仕様と供給元の工程を同時に変えられる関係が、単独改善では越えにくい壁を下げます。
近い場所で作るメリットには稼働率の条件がある
車両工場の近くで最終組み立てを行えば、遠距離輸送や在庫の負担を減らせる可能性があります。ただし、近場化だけで採算が良くなるとは限りません。自動化設備を導入し、需要が少ないままなら、製品一つ当たりの固定費は重くなります。
今回の発表では、設備投資額や原価、不良率は示されていません。自社で似た取り組みをする場合は、輸送費の削減と設備費の増加を別々に試算し、需要が減った場合でも続けられるかを確かめたいところです。供給の安定性も費用とは別に評価します。
近場で自動生産する採算は、物流費だけでなく、設備をどれだけ安定して使えるかで変わります。
他車種へ広がるときに標準化の実力が見える
新型CX-5での初採用は、共同開発を実際の車両へ移した節目です。次の判断材料は、同じ考え方や設備を別の車種にも使えるかです。毎回大きな専用投資が必要なら、横展開の速度には限界があります。
今後は、他車種への展開、設計変更への対応時間、品質の安定が焦点になります。公開情報だけでは、成果の権利や開発費の分担は分かりません。自社の提携では、将来の仕様変更と追加投資を誰が判断するかまで先に決めておく必要があります。
初採用の次は、別の車種でも品質と設備利用を再現できるかが、協業の持続性を示します。
まとめ
マツダと矢崎総業は、配線の作り分けを減らす設計変更から、生産の自動化と近場化を進めています。設備を導入するだけでは難しい課題を、発注側と供給側の共創で扱った事例です。次は他車種でも品質と稼働率を再現できるかが、展開力を示します。
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