投稿日:2026.09.30 最終更新日:2026.10.02
従業員エンゲージメントを高めるには|7事例と事業機会
従業員エンゲージメントとは、社員が会社や仕事に共感し、自ら関わり、力を発揮しようとする状態です。高めるには、アンケートで点数を測るだけでなく、働くうえでの困りごとを知り、仕事の進め方を変える必要があります。
大切なのは、社員の声を受けて、誰が何を変えたかまで伝えることです。相談しにくい上司、負担の大きい会議、成長の機会の少なさでは、必要な対応が違います。
社員に意欲を求めるだけでは、職場に残る問題は解決しません。
本記事では、意味や測り方を整理したうえで、国内外の7つの事例を紹介します。調査結果を職場改善へつなぐ方法と、この分野で新規事業を始める際の参入先・懸念も考えます。
この記事の結論
社員の声から、現場や経営が変えられる仕事を選び、対応を返します。
- 満足度・働きがいとの違いと、調査の読み方を整理
- 7事例で、調査の内製化・対話・業務改善の違いを読む
- 現場改善・安全な情報整理・業務見直しの参入案を考える
目次
従業員エンゲージメントとは?満足度・働きがいとの違い
従業員エンゲージメントは、社員と組織の関係を考える言葉です。「今の待遇に不満がないか」だけでなく、会社の方向性に納得し、仕事に主体的に関われるかを見ます。
ただし、定義や測定方法は調査によって異なります。
例えば、休暇が取りやすく、給与にも大きな不満はない職場を考えてみます。それでも、提案しても返事がなく、何を期待されているか分からなければ、会社の仕事へ積極的に関わる気持ちは持ちにくいでしょう。
待遇への満足と、組織への関わりは同じではありません。
逆に、仕事に強いやりがいを感じていても、過度な負担が続く状態は望ましくありません。エンゲージメントを、長時間働く意欲や、会社の方針へ反対しない姿勢に置き換えないことが大切です。
| 言葉 | 主に見ているもの | 職場で確かめることの例 |
|---|---|---|
| 従業員満足度 | 待遇・環境・制度などへの評価 | 給与や休暇、設備に不満があるか |
| 従業員エンゲージメント | 社員と会社・組織との関わり | 方針に納得し、力を発揮できると感じるか |
| ワークエンゲージメント | 仕事そのものへの前向きな状態 | 仕事にやりがいや熱意、活力を感じるか |
この表は、関連用語を使い分けるための整理です。厚生労働省の資料も、仕事との関係と、所属組織との関係を分けて説明しています。
実際には重なる部分もあるため、言葉だけでなく、調査票で何を聞いているかまで確認します。厚生労働省「働きがいのある職場づくりのために」
人材への投資を経営全体から考えるのが人的資本経営です。経験や技能を配置・育成に使うタレントマネジメントとも関係しますが、本記事では、社員の声から職場を変える取り組みに焦点を当てます。
なぜ、調査だけでは職場が変わらないのか
調査は、普段の会話では出てこない問題を知る手段になります。しかし、集計結果だけでは、仕事の割り振りも会議の数も変わりません。
結果を読んで終わるのか、実際に決める人へ届くのかが分かれ目です。
世界的に見ても、会社や仕事へ前向きに関われる状態が当たり前とはいえません。Gallupの2026年版報告では、2025年の世界の就業者のうち、同社の基準で「エンゲージしている」と分類された割合は20%でした。
2023年の23%、2024年の21%から下がっています。Gallupの世界データと調査方法
これはGallupの質問・集計方法による世界の推計です。「残る80%は働く意欲がない」という意味ではなく、自社の別の調査の点数とも直接比較できません。
この数字を危機感の演出に使うより、自社ではどの場面で力を発揮しにくいのかを確かめる方が役に立ちます。
例えば「上司からの支援」の項目が低くても、理由は一つとは限りません。相談の時間が取れないのか、相談しても決めてもらえないのか、上司自身に権限がないのか。
それぞれ、対話の時間、判断の進め方、権限の見直しという別の対応になります。
また、声を集めても返事をしないままだと、社員は何のために回答したのか分からなくなります。すべての要望を実現する必要はありません。
すぐ変えること、検討すること、今回は変えないことを分け、理由と担当を知らせます。
調査結果は、社員や管理職の成績表ではなく、改善する仕事を選ぶ材料です。その使い方が分かる事例を、次に見ていきましょう。
従業員エンゲージメントの7事例|企業は何を変えている?
取り組みの違いは、使うツールの名前だけでは分かりません。調査を速くする会社もあれば、部門での話し合いや、経営が返事をする仕組みを変える会社もあります。
ここでは、提供企業と利用企業の役割を分けて紹介します。
| 企業・取り組み | 何をしているか | 公表資料で確認できる段階 |
|---|---|---|
| リンクアンドモチベーション | 調査と改善案の提案、実行支援を提供 | 商用サービスの機能を公開 |
| ヤマハハイテックデザイン/Wevox | 定期調査と、現場での対話・学びを組み合わせる | 2023年公開の運用事例 |
| エナリス/Wevox | 現場の課題を人事・本部長・経営へつなぐ | 2026年公開の運用事例 |
| LIXIL/Qualtrics | 設問作成・配信・分析を社内で進める | 公式導入事例。調査業務の短縮を報告 |
| Just Eat Takeaway.com/Workday | 社員本人にも結果を見る画面を用意 | 導入済み。追加のAI活用などは資料上の計画 |
| Sage/Microsoft | 社員の声と会議の実態を合わせて改善 | 2023年公開、2025年更新の運用事例 |
| 福井 | 調査の意見に経営が対応し、定期面談を行う | 厚生労働省の2024年作成資料に掲載 |
同じ表にあるからといって、効果の大きさを比べられるわけではありません。各社で課題や調査方法が異なります。
以下では、確認できる取り組みと、そこから学べる点を分けて読み解きます。
リンクアンドモチベーション|調査から改善活動までを提供する
モチベーションクラウドは、社員の期待と満足を調べ、組織の課題を整理するサービスです。提供企業のリンクアンドモチベーションは、調査だけでなく、改善活動を進める機能や支援も用意しています。
現行の案内には、AIによる課題・行動案の提案、チャットでの支援、コンサルタントによる社内共有会や部署への支援が載っています。利用企業の人事や管理職が、結果を受け取った後に動くところまでを提供範囲にしています。サービスの特徴、アクション管理の機能
この事例が示すのは、集計画面だけが商品ではないということです。一方、AIが出す改善案が、自社の人員や予算に合うとは限りません。
導入側は、提案を選ぶ人、実行できる範囲、専門家が関わる条件まで確認すると、契約後の役割を具体化できます。
ヤマハハイテックデザイン|調査を、チームで話すきっかけにする
楽器・音響製品などの開発を担う同社は、2019年度からエンゲージメント活動を始めました。アトラエのWevoxを使い、社員を対象に月1回の調査を行う取り組みを、2023年の公式事例で紹介しています。
特徴は、結果の確認だけにとどまらないことです。価値観を共有するカードや個別面談を使い、チームでは仕事上の悩みを持ち寄る定例会も開いています。
あるチームでは、進行役を経験したいという社員の希望を受け、持ち回りにしました。Wevoxの公式事例
ここでは、話を聞く場が、その人のやってみたい仕事につながっています。点数が低い項目を埋めるだけではなく、社員の希望から実際の役割を変えるという学びがあります。
エナリス|現場の対話を、人事と経営の動きにつなげる
エネルギー分野のエナリスは、2023年11月からWevoxを利用しています。2026年7月公開の事例では、調査後に人事の担当者と本部長が結果を話し合い、課・部・本部での対話も重ねる流れを紹介しています。
経営層には年2回のレポートを作成し、全社集会でも課題や推移を伝えています。課題のある部署では、人事が話し合いに加わり、仕事への思いや必要な支援を共有する場を設けました。
2025年度には、部長職以上が参加する対話の機会も3回つくっています。Wevoxの公式事例
「各管理職が頑張る」だけで終わらず、人事や経営へつながる経路がある点が重要です。公表事例は改善と同時に、スコアが直近1年は横ばいであることも説明しています。
一度の研修で解決した事例としてではなく、課題に応じて関わり方を変え続ける取り組みとして読めます。
LIXIL|調査を社内で進め、結果を使うまでの時間を短くする
住宅設備などを提供するLIXILは、日本で社員や顧客の声を聞くためにQualtricsを利用しました。従業員向けの仕組みでは、質問の設定から配信、分析までを社内で行えるようにしています。
Qualtricsの公式事例によると、従来は3か月を要していた調査の一連の業務が、数週間で終わるようになりました。結果を見たいときに、自社で設定や分析を進められるようになった点が特徴です。QualtricsのLIXIL事例
これは、社員の気持ちが何週間で変わるかという数字ではありません。調査業務にかかる時間の変化です。
調査の外注先から報告を待つことが課題なら、内製化の価値があります。ただし、質問を自由に変更するほど、前年との比較が難しくなる場合もあるため、変えない基本項目を決めておきます。
Just Eat Takeaway.com|結果を社員にも返し、対話の材料にする
フードデリバリーを手がける同社は、国や職種の違いに対応して社員の声を聞くため、Workday Peakon Employee Voiceを利用しています。課題は、集めた情報を、各チームの行動につなげることでした。
公式事例で導入済みとされているのが、社員本人が結果を見るための画面です。管理職だけがデータを持つのではなく、社員も状況を理解し、上司と話す材料にしています。
国・職種別の調査の試行や、AIによるコメント要約の追加活用は、同じ資料では今後の計画として書かれています。Workdayの公式事例
導入済みの機能と将来の計画を分けると、現在学べることが明確になります。この事例からは、結果の見せ方も改善活動の一部だと分かります。
社員が自分の回答を振り返れることと、他人の個別回答まで閲覧できることは別です。公開する範囲を定めて、対話の材料を共有します。
Sage|「忙しい」という声を、会議の見直しへつなげる
給与・人事・会計ソフトを提供するSageは、Microsoft Viva GlintとViva Insightsを活用しています。前者は社員の声を調べる仕組み、後者は働き方のデータを分析する仕組みです。
Microsoftの事例では、社員の声と会議の傾向を調べ、不要な会議の削減などへつなげたと説明しています。顧客対応部門の定着と、開発部門の生産性は、分けて扱われています。MicrosoftによるSageの紹介
「負担が大きい」という回答に対し、励ますだけでなく、時間を奪っている仕事を見直す例です。ただし、会議時間が長いこと自体が問題とは限りません。
顧客との合意形成など、必要な会議もあります。事例の改善率を自社へ当てはめず、どの会議を変えれば、誰の仕事が進むのかを確認します。
福井|社員の意見に、経営が具体的に返事をする
大阪府の金物製造卸売業、福井の取り組みは、厚生労働省の資料に掲載されています。人材の定着が課題となるなか、社長が調査と定期面談を導入しました。
調査の開始直後には、労働環境の改善を求める声が多く集まったといいます。同社は、社員の意見を受けて設備投資や人事制度・運用を見直し、社員と管理職の定期面談も行っています。
資料では、定着や職場の雰囲気の改善が報告されています。厚生労働省の事例資料
この事例で注目したいのは、経営が変えられるものに手を付けている点です。社員に意見を求めながら、設備や制度の変更を一切考えないのでは、解決できる問題が限られます。
ツールの規模より、寄せられた声を受けて決める人がいるかが、取り組みの出発点になります。
7事例を横断すると、調査の速さ、結果を返す相手、改善を決める権限という違いが見えてきます。新しい製品を選ぶ前に、自社ではそのどこが止まっているのかを見てみましょう。
従業員エンゲージメントを高める進め方|現場と本社の役割を分ける
進め方の中心は、社員の声から、改善する仕事を一つ選ぶことです。最初から全項目を改善しようとすると、現場の負担が増え、どの変更が役立ったかも分かりにくくなります。
ここでは、営業部門で「提案準備の時間が足りない」という声が集まった架空例で考えます。
まず、数字の背景にある仕事を確かめる
「仕事の負担」の点数だけで原因を決めず、どの場面で時間が足りないかを聞きます。顧客への提案資料を作る時間がないのか、社内の報告書が重複しているのか。
同じ回答でも、対応は変わります。
この例では、営業担当が同じ案件情報を複数の会議向けに転記していると分かった、と仮定します。社員の気持ちを変えようとする前に、報告する情報と、会議の目的を見直す余地があります。
部署で変えられることと、本社へ求めることを分ける
部内の定例会の頻度は、部長が変えられるかもしれません。一方、全社の報告書やシステムをなくすには、本社との調整が必要です。
現場へ改善を任せる場合も、権限のない仕事まで押し付けないようにします。
この架空例なら、営業部は部内会議の議題を整理します。本社の営業企画部門は、重複した報告様式を統合できるか検討します。
人事は両者の話し合いを支えますが、営業の業務変更を一人で決める役割ではありません。
社員の声を、誰が仕事の改善へつなぐか
営業部門の架空例
聞こえた声
提案を準備する時間がない
↓ どの仕事に時間を使う?
同じ案件の情報を、別の会議の報告書へ何度も書き写している
↓ 変えられる権限で分ける
営業部長
部内会議の
議題・資料を
整理する
担当:営業部
営業企画
全社の
報告様式を
統合できるか
本社で判断
社員へ、対応を返す
変えたこと/残したことその理由/次に確認する人
↓ 仕事への影響を確かめる
提案準備の時間は取れたか必要な情報は届いているか
人事は調整を支える業務変更の判断は各責任者へ
悪化した点があれば、変更を直す
変えたことと、変えられなかった理由を社員へ返す
対応を始めたら、担当者、変更内容、次に振り返る時点を知らせます。「意見を踏まえ改善しました」だけでは、何が変わったのか伝わりません。
「部内会議の資料を一つにまとめた」「全社の報告書は残すが、入力元を共通にした」と具体的に伝えます。
すぐ対応できない声にも返事をします。予算が必要なのか、他部署への影響を調べているのか、法令や安全上の理由で変えられないのか。
理由を隠さず、次に誰が検討するかを示します。
その後に、提案準備の時間が実際に取れたかを確かめます。会議を減らしても、必要な情報が届かなくなったなら修正が必要です。
調査の点数だけでなく、社員が困っていた仕事がどう変わったかを追います。
成長機会が課題なら、会議の削減とは別の対応になります。学ぶ内容と実際に任せる仕事のつなぎ方は、リスキリングの解説も参考になります。
測り方と個人情報|点数を比べる前に確認したいこと
調査を続けるには、比較できることと、安心して答えられることの両方が必要です。点数の細かさだけを求めて、対象者や質問、閲覧範囲を曖昧にしないようにします。
何を、誰に、いつ聞いた数字なのかをそろえる
「スコアが上がった」ときは、同じ質問を同じ対象へ聞いた結果かを確認します。会社全体の平均が変わっても、新入社員が増えた、回答しない部署があった、組織を統合した、といった影響が含まれる場合があります。
| 確認するもの | 見落とすと起きること | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 質問と採点方法 | 別の指標を同じ点数として比較する | 質問文、選択肢、集計方法、変更点 |
| 対象と回答状況 | 答えた人の構成の変化を、改善と取り違える | 対象人数、回答人数、部署・雇用区分の範囲 |
| 調査時期 | 繁忙期や組織変更の影響を見落とす | 実施時期、直前にあった主な変更 |
| 実施した改善 | 点数だけが目的になる | 変えた仕事、担当、社員へ伝えた内容 |
| 仕事上の変化 | 活動しただけで成功と判断する | 困りごとの変化と、別に生じた負担 |
この表はイノベーション総研による調査運用の確認項目です。総合点が同じでも、困りごとは違います。
部門別の数字は、比較条件と回答者を守る条件がそろう範囲で使います。
職場を他人へ勧めたいかを聞くeNPS(従業員の推奨意向を測る指標)もあります。ただし、一つの指標だけで、仕事の負担や上司との関係のどちらが問題かは分かりません。
指標の名前より、何を知り、その後に何を変えたいかから調査を選びます。Qualtricsによる測定方法の説明
「匿名」と説明する前に、実際の設定を確かめる
名前を表示しないだけでは、誰が答えたか分からないとは限りません。部署が少人数だったり、自由記述に案件名が書かれていたりすれば、本人を推測できる場合があります。
例えばMicrosoft Viva Glintは、回答を集約して報告する調査と、回答者を識別できる調査を分けています。通常の表示基準の例として、点数は5人、自由記述は10人の回答を示していますが、企業の設定で扱いが変わります。
また、一部の設定では権限を持つ担当者が個別の回答データへアクセスできます。Microsoftのプライバシー説明
さらに、少人数の結果を他の集計から逆算できないよう、表示を抑える仕組みもあります。「一定人数いれば常に表示してよい」という単純な話ではありません。Microsoftの集計・非表示の説明
導入時には、社員へ次の内容を説明します。
- 調査の目的と、結果を使う仕事
- 個別回答・集計結果・自由記述を、それぞれ誰が見られるか
- 少人数の部署をどう扱い、データをいつまで残すか
- 回答を人事評価へ使うのか、使わないのか
- 不安や訂正の希望を、どこへ伝えればよいか
説明とシステム設定を一致させることが先です。個人を特定して低い点数の理由を問い詰める運用では、職場の問題を知るための調査が、社員の負担になってしまいます。
AIの要約は便利でも、原文へ戻れるようにする
多数の自由記述を整理する場合、AIによる要約は担当者を助けます。しかし、少数の深刻な意見が、全体の平均的な傾向へ埋もれる可能性も考える必要があります。
要約から元の記述へたどれるか、人が確認する担当を置けるかを確かめます。個人名や機密情報を外部のAIへ入力する前には、契約・保存・学習利用の条件も確認してください。
便利な機能と、社内で利用してよい条件は分けて判断します。
NEXT STEP
次のステップ
人事・組織の知見を、新しいサービスにしたいとき
どの企業の、調査後のどの仕事を支えるか。イノベーション総研は、顧客の困りごと、提供する範囲、事業として成り立つ条件の整理を支援します。従業員個人の評価ではなく、新規事業の検討に関する相談です。
従業員エンゲージメント分野へ参入するなら、どの仕事を担うか
この分野には、すでに調査・分析・改善案を提供する企業があります。新規参入では、アンケートを作れることだけでなく、既存製品を使っても残る困りごとを探す必要があります。
以下は、7事例を踏まえたイノベーション総研の参入案です。各社の発注予定を示すものではありません。
参入案1:店舗・工場で、調査後の改善を進める支援
最初の顧客候補は、多くの店舗や拠点を持つ企業の人事・運営部門です。社員の声は集まるものの、店長や現場管理職が忙しく、何から変えるかを決められない場面が対象になります。
提供するのは、調査結果を使った対話の進行、改善する仕事の選定、実施後の振り返りです。店舗なら、シフトの引き継ぎや本部への報告など、現場の業務を理解していることが強みになります。
成果物は、きれいな報告書だけでなく、変更内容・担当・対応状況が残る記録です。
既存の調査サービス企業と組み、拠点単位の支援料や継続支援料を受け取る形が考えられます。ただし、毎回の移動や個別対応が多いと採算を圧迫します。
共通化できる進行と、現場ごとに調べる仕事を分けて見積もる必要があります。
参入案2:自由記述を、安全に経営の判断材料へ変える
大企業では、多数のコメントを人事だけで読み切れない場合があります。ここには、単なる要約ではなく、閲覧権限や少人数部署の扱いまで含めた、情報整理の仕事があります。
顧客は人事企画や人事システムの担当部門です。個人を推測させる情報の扱い、原文を確認できる人、経営へ渡す集計、社員に返す説明を設計します。
必要資産は、情報管理の技術と、人事担当者が何を決めるかの理解です。調査サービス企業や情報管理の専門家との提携が候補になります。
対価は、初期設定と継続的な運用支援で分けられます。大手製品にもAI機能があるため、一般的な要約機能だけでは選ばれにくいでしょう。
顧客固有の権限や業務への接続を、どの範囲まで安全に引き受けられるかが参入条件になります。
参入案3:負担の大きい会議・報告を見直す支援
Sageの事例のように、社員の声が仕事の進め方へつながる場面もあります。業務改善やシステム導入の知見がある企業なら、会議、承認、報告の重複を減らす仕事が考えられます。
顧客は、課題を抱える事業部門や業務改革部門です。人事と連携して対象を絞り、実際の仕事を確認し、会議や報告を変更します。
納品物には、新しい手順と、変更前後で何を比べたかの記録を含めます。
「社員の意欲が上がったら成功」という曖昧な契約にせず、変える業務と確認する結果を決めます。会議を減らしても、顧客対応が遅れたら改善とはいえません。
社員の負担、情報共有、顧客への影響を合わせて見る支援に価値があります。
調査サービスと参入する仕事の関係
商用サービスの例
モチベーションクラウド
Wevox・Qualtrics
Workday・Microsoft
調査・分析を支える基盤製品によって改善支援も提供
↓ 結果を使う、企業の仕事
人事が整理し、現場・経営が仕事や制度の変更を決める
新規参入案:残る仕事を担う
安全な情報整理
人事企画に、閲覧権限と経営へ渡す集計を設計
現場の対話・改善
人事・拠点運営に、改善担当と対応記録を残す
会議・報告の見直し
事業部門に、新しい手順と変更前後の確認結果を渡す
↑ 実在企業の発注予定ではなくイノベーション総研の参入案
新しいシステムを一式つくる前に、顧客が頼みたい仕事を小さく切り出します。自社に足りない役割を外部へ頼む場合は、新規事業コンサルの選び方で、依頼範囲と社内に残す判断も整理できます。
参入を見送る条件|点数の改善を約束する前に
顧客が調査を導入していることと、外部支援に費用を払うことは別です。提案前に、支払う部門、変更できる仕事、社員の情報を扱う条件を確かめます。
次の状態では、契約を急がず、範囲を変えるか見送ります。
- 顧客に改善を決める責任者がいない。結果の共有だけを依頼範囲にしても、その後に動く人がいなければ効果は限られます。
- 回答者の保護と権限の条件を合意できない。個人の特定や、不利益な扱いにつながる依頼は引き受けません。
- 全社の離職率や総合点だけで成果報酬を求められる。外部支援が変えられる範囲と、採用・待遇・組織変更などの影響を分けます。
- 拠点ごとの個別対応が多いのに、その作業を見積もれない。拠点数だけで価格を決めず、移動・対話・調整に必要な時間を確認します。
- 顧客の既存製品ですでに同じ支援が受けられる。機能を重ねて売るのではなく、既存契約で解消できるかを先に確かめます。
例えば、会議の見直しを請け負う会社が、給与制度や経営方針まで変えることはできません。担当する仕事を明確にし、その範囲で何が改善したかを説明できる契約にします。
イノベーション総研は、参入企業の強みを、調査の点数を上げる約束ではなく、社員の声から具体的な仕事を変える力に置くことを提案します。業界の業務知識、顧客との接点、情報管理の能力のどれを持つかで、選ぶ参入先は変わります。
従業員エンゲージメントについて、よくある質問
意味や導入方法を調べる際に、特に迷いやすい点をまとめます。自社の調査票と運用条件を確認する入口として使ってください。
まとめ|社員の声を聞いた後の、最初の変更を決める
従業員エンゲージメントを高めるには、社員の意欲だけでなく、意欲を発揮できる職場の条件を見る必要があります。7事例に共通するのは、測定の先に、対話、権限、具体的な仕事の見直しがあることです。
まず、社員が困っている仕事を一つ選び、誰が何を変え、その結果をどう返すかを書いてみましょう。現場では変えられない課題は、人事や経営へつなぎます。
点数と一緒に、実際の仕事がどう変わったかを確認することが大切です。
この分野への参入でも同じです。調査を追加すること自体ではなく、顧客のどの仕事が止まっているかを見ます。
現場改善、安全な情報整理、業務の見直しのうち、自社が引き受けられる仕事から事業案を考えましょう。
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社員の声を生かす支援を、事業として考える
対象の業界、最初の顧客、渡す成果物、継続して必要になる仕事を整理しませんか。自社で担う範囲と提携が必要な範囲を分け、参入の可否を検討します。