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ニーズ調査のやり方|6ステップと質問例、事業化の判断基準

ニーズ調査は、顧客が困っていることと、解決したい理由を確かめる調査です。やり方は、目的を決める、対象者を選ぶ、質問を設計する、調査する、回答を分析する、次の判断を決める、の6ステップです。

新規事業で迷いやすいのは、「何人に、何を聞けばよいか」「好意的な回答が出たら、開発してよいのか」という点ではないでしょうか。顧客の要望を集めるだけでなく、実際の困りごとと購入条件を分けて確かめます。

本記事では、手法の使い分けから、そのまま調整して使える質問例、結果のまとめ方まで解説します。イノベーション総研の888名調査と代表・長尾の問題認識を踏まえ、法人向けサービスの架空例で、調査を事業化の判断に活かす方法を紹介します。

この記事のポイント

  • 調査後に何を決めるかを置き、対象者と手法を選ぶ
  • 「欲しいですか」だけでなく、直近の出来事と対処方法を聞く
  • 発言・観察事実と解釈を分け、顧客の条件別に分析する
  • 好意的な回答を購入確約にせず、次の検証を決める

目次

ニーズ調査とは、顧客の困りごとと解決したい理由を確かめること

ニーズ調査は、顧客がどのような場面で困り、何を実現したいのかを、発言や行動から明らかにする調査です。新規事業では、開発する商品を決める前に、誰のどの問題を解くのかを絞るために使います。

市場調査が市場規模や競合、制度なども広く扱うのに対し、ニーズ調査は顧客の状況に焦点を当てます。調査の結果、当初の案を進めることもあれば、対象者や解決策を変えることもあります。全体の調査設計は新規事業の市場調査の進め方で解説しています。

欲しい機能と、解決したい問題を分ける

顧客が欲しいと言った機能が、そのまま開発の正解になるとは限りません。例えば「日報を自動入力したい」という要望の背景には、入力の手間、記入漏れへの不安、上司の承認待ちなど、異なる問題があり得ます。

実現したい状態がニーズ、そのために求める具体的な手段がウォンツです。「自動入力」という手段の前に、何が変われば仕事が楽になるのかを確かめます。承認待ちが主な負担なら、入力機能を増やしても問題は残ります。

潜在ニーズは、発言と行動の食い違いから仮説を立てる

顧客が自覚している欲求は顕在ニーズ、十分に言語化できていない欲求は潜在ニーズと呼ばれます。ただし、調査者が本人以上に「本音を知っている」と決めつけてはいけません。

「特に困っていない」と話しながら、毎回同じ情報を別の表へ転記しているなら、その行動が手掛かりです。転記の理由や、やめると何が起こるかを聞きます。潜在ニーズは、観察した事実から立てた仮説を、追加の対話や試作で確かめていくものと考えると扱いやすくなります。

調査手法は、知りたい「理由」と「広がり」で選ぶ

まだ顧客の問題が見えていないときは、インタビューや観察で理由を探ります。問題の候補が見えてきたら、アンケートでどのような人に、どの程度当てはまるかを確認します。定性調査と定量調査は、優劣ではなく役割で使い分けます。

次の表で「知りたいこと」に最も近い行から、最初の手法を選んでください。すべての手法を実施する必要はありません。

知りたいことから選ぶニーズ調査の手法
手法 向いている問い 分かることと限界
インタビュー なぜ困るのか、今どう対処しているか 出来事の背景を深掘りできる。少人数の発言だけで市場全体の割合は判断しない
行動観察 言葉では説明しにくい作業の負担は何か 実際の動作や手戻りを確認できる。観察者の解釈は本人にも確かめる
アンケート どの顧客層に、どの程度問題があるか 条件別に傾向を比較できる。対象者や設問が偏れば、人数が多くても結果は偏る
既存記録・公開情報 既にどのような不満や対処が記録されているか 問い合わせ、商談記録、口コミなどから仮説をつくれる。記録に残らない人や背景は別途確認する

SNSや口コミは、自社が想定しなかった問題を見つける入口になります。ただし、投稿者の偏りや、投稿しない人の存在があるため、投稿件数をそのまま市場全体のニーズの強さには置き換えません。既存情報の調べ方はデスクリサーチのやり方も参考になります。

人数・費用・期間は、調査で決める内容から逆算する

ニーズ調査に共通する「正しい人数」や一律の予算はありません。例えば、業務の流れを理解する面談と、顧客層ごとの割合を比較するアンケートでは、必要な対象者も回収数も違います。

初期のインタビューでは、想定顧客の条件ごとに話を聞き、何が新しく分かったかを途中で見直します。同じ話が続いても、利用者だけに聞いていて決裁者が未確認なら、調査を終える根拠にはなりません。アンケートでは、全体の人数に加えて、比較したい各集団に何人の回答が必要かを設計します。

実務では「設計・事前テスト」「対象者募集」「実施」「分析・判断会議」を分けて日程と担当を置きます。特に特定業界の法人担当者は募集に時間がかかる場合があります。外注する際は、対象条件、面談時間や設問数、募集・分析の担当範囲を揃えて見積もります。金額の比較は市場調査の費用相場と予算の決め方で詳しく扱っています。

ニーズ調査のやり方を6ステップで解説

進め方は、目的、対象者、設計、実施、分析、次の判断の順です。以下では「法人向けの日報業務を支援するサービス」を検討する架空例を使い、各段階で何を残すかまで説明します。

1. 調査後に決めることと、仮説を一文にする

最初に「調査後、何を決めたいのか」を書きます。「ニーズを知る」では広すぎるため、「日報の入力担当者と承認者のどちらを最初の顧客にするかを決める」まで具体化します。

次に、確かめる仮説を置きます。例えば「複数拠点を管理する責任者は、未提出・未承認の日報を探すため、週次報告の前に確認作業を繰り返している」です。仮説は正しさを主張するためではなく、何が違ったら考えを変えるかを明らかにするために使います。

この段階の成果物は、判断したいこと、仮説、判断を変える事実をまとめた短い調査メモです。問題の起点が曖昧な場合は、課題仮説の立て方と検証方法から整理してください。

2. 最近その問題を経験した人を選ぶ

業種や役職だけでなく、実際の経験を参加条件にします。日報の例なら「直近1か月に、複数拠点の日報を取りまとめた人」といった条件です。経験のない人に将来を想像してもらうより、具体的な出来事を聞きやすくなります。

BtoBでは、利用者、運用担当者、費用を負担する部門、決裁者が別の場合があります。一人の「使いたい」という発言で、全員の合意があると判断しないようにします。

既に問題を解決した人や、別の手段を選んだ人も比較対象になります。なぜ自社の想定とは異なる行動を取ったのかが分かると、顧客条件を絞り直せます。募集条件と、聞けていない立場を記録しておきましょう。

3. 問いに合う手法を選び、質問を試す

調査票を配る前に、質問が判断につながっているかを確認します。困る場面がまだ曖昧なら、まず面談で仕事の流れを聞きます。既に複数の問題が見えているなら、アンケートで発生頻度や現在の対応を比較します。

本調査の前には、想定対象に近い人に少数の試行を行います。「日報」という言葉の意味が部署で違う、質問が長くて答えにくい、といった問題を直します。社内の同僚との練習は進行の確認には有効ですが、顧客に通じるかの確認をすべて代替できるわけではありません。

依頼時には目的、所要時間、記録方法、情報の利用範囲を説明し、同意を得ます。機密情報や個人情報を必要以上に集めず、録音や記録の共有範囲も決めておきます。

4. 提案の感想より、直近の出来事を聞く

面談の冒頭で商品を詳しく説明すると、その商品への感想に話が寄りやすくなります。まず「最後に日報を取りまとめたときの流れを、順に教えてください」と聞き、実際の作業を確認します。

困った箇所が出たら、その前後に何が起きたか、どのように対応したか、誰へ相談したかを聞きます。許可を得られる範囲で、個人情報などを除いた帳票や操作の流れを見せてもらうと、言葉だけでは抜ける工程を補えます。

英国政府のユーザー調査ガイドも、中立的な質問と実際の出来事を重視しています。質問表は進行の助けとして使い、想定外の話を切り捨てないことが大切です。出典:GOV.UK「Using in-depth interviews」

5. 回答を顧客の条件別に整理する

分析では、全員の回答をひとまとめにする前に、役割、問題が起きる条件、現在の対処方法で分けます。日報の入力担当者には小さな不便でも、取りまとめ担当者には毎週繰り返す負担かもしれません。

面談の記録は、発言や観察した事実と、調査者の解釈を別欄にします。「手作業がある」は事実でも、「自動化サービスが売れる」はまだ仮説です。意見が食い違った場合は、どちらかを消すのではなく、仕事内容や運用条件の違いを確認します。

アンケートは、問題の経験がある人に対象を絞った集計と全体集計を分け、割合の分母を記します。小さな集団の結果を、数字の大小だけで順位づけしないようにしてください。

6. 結果を基に、次の検証と担当者を決める

最後に、分かったことから次の行動を選びます。困りごとが具体的でも、費用負担者に会えていなければ、本開発の承認ではなく、予算や決裁条件を確かめる面談が次の一手です。

仮説が弱まった場合は、顧客条件を変えるのか、問題を見直すのか、いったん保留するのかを決めます。「もっと調べる」だけでは終わらせず、誰に何を確認し、いつ再判断するかを残します。

調査報告の結論は、「ニーズがあった」よりも「誰の、どの場面の問題が確認でき、購入判断には何が残っているか」と書くと、関係者が次に動きやすくなります。

ニーズ調査の質問例|困りごとから予算・決裁まで聞く

質問は、現在の仕事や生活の流れ、困った出来事、対処方法、その結果という順で組み立てます。価格や導入条件は、問題の状況を把握してから聞きます。次の質問はひな形なので、相手の立場と言葉に合わせて調整してください。

顧客の経験と導入条件を確かめる質問例
確かめたいこと 聞き方の例 回答から確認すること
実際の場面 最後に日報を取りまとめたとき、どのような順番で作業しましたか 担当者、作業の流れ、発生する条件
困った出来事 そのとき、予定どおりに進まなかったことはありましたか 問題の有無と具体的な内容。問題なしの回答も残す
頻度と影響 同じことは直近4週間に何回ありましたか。起きたとき、何に影響しましたか 頻度と影響は一つずつ順に聞く
今の対処 最後にその問題が起きたとき、何をして対処しましたか 代替手段、使っている工数や費用
残っている不満 今の方法で解決できている点と、残っている点を教えてください 乗り換える必要があるか
優先順位 同じ時期に対応した他の課題は何でしたか。どちらを先に進めましたか 抽象的な重要度ではなく、実際の優先行動
予算と決裁 似た業務の仕組みを最近変えた際、費用をどの部門が負担し、誰が判断しましたか 過去の予算・決裁経路。今回も同じとは断定しない

相手が費用や決裁を知らない場合は、「分からない」をそのまま残します。推測で回答してもらうより、事情を知る人に別途確かめる方が、次の判断に使える情報になります。具体的な面談の進行はBtoB顧客インタビューのやり方で確認できます。

アンケートは期間・選択肢・質問の順番を揃える

アンケートでは、「よく困りますか」のような曖昧な表現を避けます。例えば「直近4週間に、日報の承認が必要な期限に間に合わなかったことは何回ありましたか」とし、0回、1〜2回、3〜4回、5回以上、分からないなど、重ならない選択肢を用意します。業務自体を経験していない人は、先の設問で分けます。

その後に、実際に取った対応や影響を聞きます。「入力が簡単で承認も速いと思いますか」のように、一つの設問で別の内容を評価させないことも重要です。自由記述や「その他」は、想定していない回答を拾うために使います。

商品説明や購入意向は、現在の状況を聞いた後に置きます。回答形式や質問の順番は結果に影響するためです。Pew Research Centerも、平易で具体的な文言、一度に一つの質問、選択肢の漏れ・重複の確認を勧めています。出典:Pew Research Center「Writing Survey Questions」

ニーズ調査で、いま迷っていることはどれですか

近い状態を開くと、確認項目と詳しい解説へ進めます。

01 何から調べればよいか分からない

先に、調査後に決めたいことを置きます。

  • 顧客を決めたいのか
  • 解く問題を選びたいのか
  • 開発の可否を決めたいのか

6ステップの進め方を見る →

02 調査手法を選びたい

理由と広がりのどちらを知りたいかで選びます。

  • 背景が分かっているか
  • 比較する仮説があるか
  • 行動を直接見られるか

手法の比較を見る →

03 何を質問すればよいか迷う

直近の経験と対処方法から聞きます。

  • 最後に起きたのはいつか
  • そのとき何をしたか
  • どの立場なら答えられるか

質問例を見る →

04 回答が好意的だが、売れるか分からない

困りごとと購入条件を分けて整理します。

  • 現在の手段よりよいか
  • 費用負担者を確認したか
  • 導入に必要な条件は何か

結果の読み方を見る →

05 調査対象が偏っていないか心配

聞けている人と、まだ聞けていない人を分けます。

  • 既存顧客だけではないか
  • 別の手段を使う人はどうか
  • 全体平均で隠れていないか

避けたい進め方を見る →

06 調査をいつ終えるか決めたい

残る問いと再判断の条件を明確にします。

  • 判断に必要な事実は何か
  • 面談以外で確かめるべきか
  • 誰がいつ次を決めるか

次の行動を整理する →

顧客の反応は集まっているのに、進めるかどうか決められない場合は、新規事業リスク診断「Compass」で、判断材料の不足を整理する方法もあります。調査と実証の進め方を相談したい場合は、次の立ち上げ支援をご確認ください。

NEXT STEP

次のステップ

顧客の声を、検証計画と事業化の判断へ

誰に何を確かめるか、調査結果からどの試作へ進むか。イノベーション総研が、現在の仮説と課題を踏まえて、新規事業の検証・立ち上げを支援します。

調査結果は「困りごとの強さ」と「購入条件」を分けて読む

イノベーション総研では、問題が実際に起きているかと、その解決に顧客が費用や時間を使うかを分けて確認します。困っていることが分かっても、現在の手段で十分な場合や、導入の負担が改善効果を上回る場合があるためです。

888名調査では、対話回数と事業の到達段階に関連が見られた

イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)では、顧客と直接対話した回数によって、有料提供開始以降の段階へ到達したと回答した割合に違いがありました。対象は、従業員1,000名以上の企業で新規事業に関わった担当者・意思決定者です。

有料提供開始以降の段階へ到達した回答者の割合

顧客対話10回以下36.8%(224/609名)
顧客対話11回以上49.4%(116/235名)
出典:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)。有料提供開始・継続売上と運営体制の確立・黒字または投資回収の目処と自走認知の各段階を合算。回数不明44名を比較から除外。

これは回数と到達段階の関連を示す結果で、対話を11回すれば事業化できるという意味ではありません。事業に取り組んだ期間や難易度などの条件は揃えていません。

イノベーション総研が重視するのは、対話を重ねて、事業判断に残る疑問が減ったかどうかです。この結果を自社へ活かすなら、件数のノルマを増やす前に、重要な顧客の立場が抜けていないか、同じ仮説を確かめないまま面談を繰り返していないかを点検します。

好意的な回答を、売上の根拠にしない

イノベーション総研は、代表・長尾の経験に基づく問題認識として、顧客の好意的な反応を購入の確約と受け止め、前提を誤ったまま進める失敗を挙げています。ニーズ調査でも、この区別が重要です。

「便利そう」という回答は、関心の手掛かりです。しかし、それだけで購入者、予算、導入時期が決まったわけではありません。試作を実際の業務で試す、現行手段と比較する、費用負担者と条件を話すなど、次の確認へつなげます。

特に法人向けでは、利用者の利便性と、決裁者が求める効果が異なることがあります。利用者の声を軽視するのではなく、利用価値と組織としての購入条件を両方そろえる、という考え方です。

架空例:日報の入力支援を、承認待ちの解消へ見直す

ここでは説明用の架空例として、面談後の整理を示します。実在する支援案件や実測結果ではありません。当初は「入力を自動化したい」という案でしたが、誰のどの負担が大きいかを調べ直すと、次のように判断が変わります。

日報業務の調査を、次の検証へ変える整理例
発言・観察した事実 イノベーション総研の解釈 未確認の点と次の判断
入力担当者は、定型文を複製して日報を作っていた 入力の負担は、既存の工夫で一部解消している可能性 入力時間だけを理由に、自動化の本開発へ進めない
取りまとめ担当者は、未承認の報告を探して各拠点へ連絡していた 承認待ちの把握と催促に、別の負担がある可能性 複数拠点の担当者に頻度と工数を聞き、試作対象を絞る
承認状況の一覧には関心を示したが、費用負担者には面談していない 利用価値の手掛かりはあるが、購入条件は未確認 責任者への面談を設定し、既存の予算と審査条件を確かめる
既存システムからの情報取得方法は確認していない 便利でも、運用や接続が障害になる可能性 運用担当者と確認し、限定した試作の範囲を決める

この段階で選ぶのは、入力支援機能の全面開発ではなく、承認待ちを把握する小さな試作と、責任者への条件確認です。問題が繰り返し起き、既に対処に工数を使っている点は検証を進める理由になります。一方、予算や既存システムとの関係は、まだ決めていないこととして残します。

日報という題材は一例です。消費者向けでも、誰がどの場面で困り、今どう対処しているかを整理し、実際の利用や支払いに近い行動で確かめる流れは共通します。ただし、法人の稟議や部門間調整を、そのまま個人の購入判断へ当てはめる必要はありません。

ニーズ調査で避けたい4つの進め方

調査の形が整っていても、集め方と読み方を間違えると判断がずれます。特に次の4点を、実施前と報告前に確認してください。

1. 知人や既存の取引先だけで結論を出す

話しやすい相手は、最初の問いを磨くには役立ちます。ただし、既に自社を好意的に見ている人に偏ると、問題の少ない回答だけが集まる可能性があります。

本来の対象者とどの点が同じで、どの点が違うかを確認します。既存顧客以外や、競合の手段を使う人など、判断を変え得る相手を追加し、聞けた範囲を超えて一般化しないようにします。

2. 欲しい機能の多数決で開発内容を決める

要望の数は、問題の深さや購入の優先順位と同じではありません。「あるとよい」機能が多く集まっても、それだけでは既存の手段から乗り換える理由が見えません。

要望ごとに、困る場面、発生頻度、放置した影響、現在の対処をひもづけます。数が多いから作るのではなく、どの顧客の行動が変わるのかを説明できる状態にします。

3. 全体平均だけで、切実な少数顧客を見落とす

全体では困っている人が少なくても、特定の業務条件では繰り返し問題が起きているかもしれません。役割や利用頻度など、仮説に関係する条件ごとに分けて見ます。

ただし、都合のよい小集団だけを後から切り出して、市場があると断定するのも危険です。その条件の顧客が他にもいるか、自社が継続的に接点を持てるかを追加で確かめます。

4. 調査を重ねても、次の判断を決めない

回答が増えても同じ議論が続くときは、情報量より、何を決めるかが曖昧になっている可能性があります。次の面談を増やす前に、残っている疑問を一つずつ書き出します。

顧客を変える必要があるのか、試作品を試してもらう必要があるのか、採算を計算する必要があるのかを分けます。必要な情報がそろわないまま期限を迎えた場合も、未確認を隠さず、保留の理由と再開条件を決めます。

ニーズ調査のよくある質問

人数の決め方や、購入意向をどう扱うかなど、初めて調査を進める際に迷いやすい点をまとめました。

Q. ニーズ調査は何人に聞けばよいですか?

A. 一律の人数はありません。インタビューでは顧客の条件や立場ごとに聞き、未確認の問題を整理します。アンケートでは比較したい集団ごとに必要な回答数を設計します。件数だけでなく、今回の判断に必要な相手と情報がそろっているかを確認してください。

Q. ニーズ調査はアンケートだけでできますか?

A. 確かめたい問題が明確で、対象者が設問を理解できる場合は、アンケートを中心に進められます。問題の背景や使っている言葉がまだ分からない場合は、先にインタビューや観察で仮説をつくると設問を具体化しやすくなります。

Q. 潜在ニーズは、どうやって見つけますか?

A. 本人の発言だけでなく、実際の行動や現在の工夫に着目します。例えば、困っていないと言いながら繰り返している手作業があれば、その理由を聞きます。調査者の解釈を正解と決めつけず、追加の対話や試作で確かめてください。

Q. 「買いたい」という回答が多ければ、開発してよいですか?

A. 購入意向は手掛かりですが、購入の確約ではありません。現在の対処方法に比べた価値、価格、導入の負担、費用負担者の判断を確認します。まず限定した試作や条件提示で確かめ、本開発へ進むかを決めてください。

Q. ニーズ調査を外部に依頼するとき、何を伝えればよいですか?

A. 調査後に決めたいこと、現在の仮説、対象者の経験条件、期限を伝えます。募集・質問設計・実施・分析の分担も確認し、結論だけでなく、根拠と未確認の点を受け取れるように依頼してください。

まとめ|顧客の声から、次に確かめることを決める

ニーズ調査は、顧客の要望を集めて終わる活動ではありません。調査後に決めることを置き、最近の経験がある相手に、実際の出来事と対処方法を聞く。その結果を顧客の条件ごとに整理し、次の検証へつなげることが大切です。

まずは手元の企画について、「誰が、いつ、何に困り、今どう対処しているか」を一文にしてください。書けない部分が、最初に確かめる問いです。仮説と違う結果も残せれば、不要な開発を避け、より必要とされる問題へ取り組み直せます。

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調査の問いが定まらない、顧客の声から何を変えるか決められない。その段階から、現在の仮説と不足している情報を一緒に整理します。

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この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

手法の参考:GOV.UK「Using in-depth interviews」、Pew Research Center「Writing Survey Questions」(本文にリンク、2026年9月9日確認)。
独自調査:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)。
日報業務の検討と記入例は説明用の架空例です。実務手順、質問例、結果の解釈はイノベーション総研が作成しました。代表の問題認識は当社「イノベーション総研とは」ページを参照しています。

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