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半導体材料とは?主要9社から読む日本企業の参入余地

半導体材料は、性能が高ければ売れるのか。
顧客認定、供給、変更管理まで設計できているか。

半導体材料の参入先は、材料の性能に加え、顧客工程での評価・安定供給・採算で選びます。市場の数字と主要9社の事例を読み分け、自社の化学・分析・装置技術を生かす四つの方法を解説します。

この記事の結論

半導体材料は基板・薬液・実装材料などを含み、2025年の市場売上高は732億米ドルでした。

  • 競争力は単体性能だけでなく、顧客認定、量産再現性、供給、変更管理で決まります。
  • 主要9社は、材料と装置、ろ過、共同評価、工場運用を異なる方法でつないでいます。
  • 参入余地は、環境対応、純度・搬送、共同評価、回収・再生にあります。

半導体材料と聞くと、シリコンウエハーやフォトレジストを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実際の工場では、回路を作るためのガス、薬液、研磨材、薄膜材料から、チップをつなぎ、守り、冷やす材料まで、多くの製品が使われます。

半導体材料には、製品に組み込まれる基板や封止材、工程で消費する薬液・ガス、繰り返し使うフォトマスクなどがあります。生産量や工程の変化に応じて需要が生まれますが、使用量は工程の効率化や価格にも左右されます。

性能の高さに加え、顧客の量産条件で同じ結果を出し続けることが採用の条件です。

本稿では、材料の分類、市場の読み方、企業の取り組みを整理し、評価費用、供給、責任範囲まで含めた参入判断を示します。情報確認日:2026年9月28日。

企業の製品説明、共同研究、設備投資計画を区別して記載します。

半導体材料とは?前工程・後工程の材料と役割

半導体材料は、製品に残る基板・実装材と、加工を支える薬液・ガスなどに分けて捉えます。 基板や接合材は半導体製品の一部となり、薬液やガスは回路の形成・洗浄などを助けます。

材料をすべて「使い捨ての消耗品」と考えず、製品に残るのか、工程で消費するのか、繰り返し使うのかを分けると、品質保証と供給の条件を整理しやすくなります。

業界団体SEMIは材料市場を前工程と後工程に分類しています。前工程材料には、シリコン、フォトマスク、フォトレジスト、ガス、薬液、成膜用ターゲット、CMP(表面を平らに磨く工程)材料などが含まれます。

露光・加工・洗浄を繰り返して回路を作るため、材料も複数の工程で使います。

一方、後工程材料は、切り出したチップを外部とつなぎ、保護するために使います。具体的には、パッケージ基板、ボンディングワイヤ、接着材、封止材、セラミックパッケージなどが含まれます。

特にAI半導体では、複数のチップとメモリーを近くに置くため、後工程が性能を左右する場面も増えました。

CoWoSと先端パッケージングでは、チップ、インターポーザー、基板をつなぐ工程を詳しく解説しています。半導体材料を調べる際も、前工程の薬液だけでなく、後工程の接着、絶縁、放熱まで見ると、需要が生まれる理由を理解しやすくなります。

材料の用途は、品名に加え、対象の膜と工程で決まります。同じ薬液でも、洗浄と膜の除去では必要な純度や評価方法が異なるため、どの工程で何を改善する材料なのかを顧客と合わせます。

半導体材料市場は2025年に過去最高へ

市場売上高には数量と価格が影響します。自社材料の需要は、顧客の採用予定まで確認します。

SEMIの2026年5月12日の発表によると、2025年の世界半導体材料市場の売上高は732億米ドルで、前年比6.8%増の過去最高でした。同じ発表で示された前工程・後工程の内訳は次のとおりです。

2025年の世界半導体材料市場:売上高と前年比
対象 2025年売上高 前年比
全体 732億米ドル 6.8%増
前工程材料 458億米ドル 5.4%増
後工程材料 274億米ドル 9.3%増

前工程材料は458億米ドル、後工程材料は274億米ドルでした。SEMIは先端工程、高性能計算、広帯域メモリーなどの需要に加え、ボンディングワイヤでは金価格上昇の影響も挙げています。

売上高の増加を、そのまま材料使用量の増加と読むことはできません。

地域別では台湾217億米ドル、中国156億米ドル、韓国112億米ドルの順でした。これは材料の消費地域の比較で、材料メーカーの本社所在地別シェアではありません。

海外顧客を狙う場合は、対象工場で必要になる評価、在庫、品質対応、輸送条件を確認します。

このデータからの示唆は、市場全体の成長率だけで設備投資を決めないことです。自社が対象とする材料について、顧客の採用予定、使用量、単価、評価を通過するまでの費用を分けて見積もります。

半導体材料の採用を決める性能・顧客認定・安定供給

材料性能、顧客工程での再現性、供給体制を合わせ、評価と品質保証の費用まで採算に入れます。 半導体材料には「一度採用されると切り替えにくい」という特徴があります。

材料を変えると、膜の厚さ、回路の形、欠陥、装置の汚れ方まで変わることがあるからです。しかも、小さな変化でも、歩留まり(良品の割合)や製品寿命へ影響します。

採用へ進むには、試作、装置での評価、信頼性試験、少量生産などを通じて、量産条件での再現性を確かめます。順序や項目は顧客・用途で異なります。

顧客の標準工程(POR:Process of Record)での使用を認められることと、継続的な購入量が確約されることは別です。

材料会社には、次の四つが求められます。

  • 原料のばらつきを抑え、同じ品質を繰り返す
  • 容器、輸送、保管を含めて汚染を防ぐ
  • 原料や工程を変える前に顧客へ伝え、再評価を行う
  • 不良が起きたとき、製造記録をたどって原因を切り分ける

重要なのは、材料の化学的な性能と、量産データ、品質保証、供給体制を一組で示すことです。切り替えに再評価が必要な市場では、既存品との差だけでなく、顧客が評価と変更に負担する費用も提案へ含めます。

採用後の利益は、価格と提供原価で決まります。顧客専用品が増えると、小ロット在庫、個別試験、地域設備、変更対応の費用も増えるため、顧客別に変える部分と、共通化する製造・分析・容器を分けます。

別顧客へ評価データを使う際は、契約上の利用範囲と工程条件も確認します。

主要9社で分かる半導体材料メーカーの違い

9社の担当範囲を比較し、自社に不足する評価・供給・品質管理の機能を見つけます。 半導体材料企業には、基板に集中する会社、材料と装置の評価を組み合わせる会社、供給設備の運用まで担う会社があります。

売上順位ではなく、自社に不足する機能や提携先を考えるために9社を分類します。

次の表は、各社の公式製品情報・発表から主な担当範囲を整理したものです。個別の顧客で同じ改善効果や利益が出ることを示す比較ではありません。

半導体材料を支える主要9社の役割
企業 主な材料・サービス 顧客工程 競争の作り方
SUMCO シリコンウエハー 回路を作る基板 結晶、平坦度、欠陥、供給品質を一体で管理
信越化学工業 シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス 基板から露光 複数の基幹材料を開発・供給
東京応化工業 フォトレジスト、現像液、洗浄・剥離薬液 回路形成 感光材と周辺薬液を工程単位で提案
JSR/Inpria EUV向け金属酸化物レジスト、薄膜材料 先端露光・成膜 装置・材料企業との特許利用や開発協業
フジミインコーポレーテッド CMPスラリー ウエハー平坦化 日本・米国・台湾の開発設備で顧客と評価
Qnity Electronics CMPパッド ウエハー平坦化 製品の基本配合を保ち、品質と一貫性を改善
Entegris CMP材料、ろ過、容器、薬液管理 材料供給・汚染管理 材料から搬送・ろ過まで一体化
レゾナック CMP、高純度ガス・溶剤、実装材料 前工程から先端パッケージ 幅広い材料と共同評価の場を組み合わせる
Air Liquide 高純度ガス、供給設備、工場内運用 成膜・洗浄・雰囲気制御 顧客工場の近くで設備を保有・運転

9社の違いは、材料の名前より「どこまで責任を持つか」に表れます。次の章から、各社が顧客の課題をどう解いているかを具体的に見ます。

SUMCO・信越化学・東京応化は前工程の入口を押さえる

基板や薬液の性能は、隣の工程と合わせて評価し、量産時の欠陥と処理条件へつなげます。

SUMCOは、ウエハーを均一な量産基板にする

SUMCOは、高純度シリコンの結晶を作り、薄く切り、表面を磨いてウエハーにします。同社の説明では、シリコンの円柱を約1mmの厚さに切り、研磨と洗浄を行います。

表面の傷、結晶の欠陥、厚さや平坦度の差は、後工程での加工結果に影響します。シリコンを高純度にする技術だけでなく、検査、研磨・洗浄、出荷時の品質保証まで合わせて評価する必要があります。

SUMCOの事例は、素材企業の入口を示します。たとえば、高純度化の技術があっても、顧客が測る欠陥と結び付かなければ採用されません。

そのため、分析方法と品質保証を、製品と一緒に設計する必要があります。

信越化学工業は、基板と回路形成材料を持つ

信越化学工業は、シリコンウエハー、フォトレジスト、フォトマスクブランクスなどを展開しています。フォトレジストの製品情報では、i線、KrF、ArF、EUV向けと、その下に使う材料をそろえています。

この製品構成から、自社の材料を前後工程と一緒に見る重要性が分かります。例えば露光では、感光材の性質に加え、基板の平坦さや塗布膜の状態も確認します。

複数製品を持つという事実と、顧客での改善成果は区別して評価します。

東京応化工業は、感光材と周辺薬液を工程で提案する

東京応化工業は、フォトレジストだけでなく、現像液、洗浄液、剥離液などを扱います。回路を描いた後に、不要な部分を現像し、残った膜を取り除くところまで材料が続きます。

この製品構成を参入検討に生かすなら、薬液単体の性能値だけでなく、現像・加工・洗浄を終えた線幅、欠陥、処理時間を比べます。隣の工程へ悪影響を移していないかまで測ることが、採用に向けた確認点です。

先端露光の装置と材料がどうつながるかは、EUVとHigh-NAの供給網で整理しています。露光装置の性能が上がるほど、感光材、ろ過、塗布・現像、検査の条件も一緒に変わります。

フォトレジストとは何かは別記事で詳しく整理しています。材料全体を見た後、露光材料の競争を深く知りたい場合にご覧ください。

JSR・フジミ・Qnity・Entegrisは装置と材料を合わせる

材料、装置、ろ過、監視を組み合わせ、共同開発の合意と量産採用の実績を分けて確認します。

JSR/Inpriaは、レジストを装置と一緒に開発する

JSRは、露光、成膜、加工に使う電子材料を展開しています。子会社Inpriaは、EUV向けの金属酸化物レジストを開発しています。

JSR/Inpriaは2025年9月にLam Researchと特許の相互利用・材料開発で協業しました。また、2026年5月にはEntegrisと金属酸化物レジスト関連のクロスライセンス契約を締結しています。

後者は、レジスト設計、原料、ろ過・供給技術を対象に将来の協業可能性を検討する発表です。

二つの契約から読み取れるのは、材料の設計と、膜の形成・加工、原料や供給の管理をつなぐ必要性です。共同開発や特許利用の合意は、顧客の歩留まり改善や量産採用が完了したこととは別の段階として確認します。

フジミは、顧客の近くでCMP条件を作る

CMPは、薬液の中に細かな粒子を入れたスラリーと、研磨パッドを使い、ウエハー表面を平らにする工程です。高い部分だけを狙って削り、次の回路を重ねられる面を作ります。

フジミインコーポレーテッドのCMP製品紹介では、日本、米国、台湾に同等の設備を備えた開発拠点を置き、顧客と共同開発すると説明しています。開発段階から顧客の工程に合わせる体制を示す例です。

この体制を参考にするなら、顧客の装置や膜構成に近い条件で試験し、結果を材料の修正へ早く戻せるようにします。削る速さ、傷、残留物、膜ごとの削れ方を同じ評価条件で比べることが重要です。

Qnityは、CMPパッドの再現性を積み重ねる

Qnity ElectronicsのIC1000は、銅、タングステン、酸化膜などのCMPで使う研磨パッドです。公式説明では、製品として20年以上、基本配合を変えずに品質と一貫性を改善してきたとしています。

研磨パッドは、見た目には樹脂の円盤です。しかし、硬さ、孔の構造、表面状態が変わると、削れ方と傷の出方が変わります。

長い採用実績は、材料の配合だけでなく、ロット間の差を抑える製造技術が価値になる例です。

Entegrisは、材料からろ過・容器までつなぐ

Entegrisは2022年7月のCMC Materials買収でCMPスラリーとパッドなどを加え、既存のろ過、CMP後洗浄、容器、工程監視と組み合わせる方針を示しました。

なお、買収に含まれたElectronic Chemicals事業は、2023年10月に富士フイルムへ譲渡されています。調達先を調べる際は、買収当時の企業図だけで判断せず、現在の製品担当と供給体制を確認します。

現在のCMPソリューション紹介も、スラリー、パッド、ろ過、洗浄、濃度監視を一体で扱っています。材料が良くても搬送・使用時に異物が入れば品質を保てないため、製造から顧客工程までの管理を検討する例です。

レゾナックとAir Liquideは供給範囲を広げる

共同評価の場と供給設備の運用は別の事業です。担う責任と必要資金を比較します。

前工程から工場運用まで広げる2社の事例
図1:レゾナックの共同評価とAir Liquideの供給設備・運用の担当範囲。各社公式情報をもとに当研究所整理。個別の設備計画や共同研究の進捗は本文に記載しています。 スマートフォンでは左右に動かすか、画像を開くと拡大できます。

レゾナックは、前工程と先端パッケージをつなぐ

レゾナックは、CMPスラリー、高純度ガス・溶剤、感光性材料、銅張積層板、接着材、封止材などを持ちます。回路を作る前工程から、チップをつなぐ後工程まで製品がまたがります。

レゾナックは、材料、装置、設計ツール企業が共同で評価する仕組みを作っています。2025年9月のJOINT3発表では27社が参加し、515mm×510mmのパネルを用いる有機インターポーザーの試作ラインで開発を進めると説明しました。

さらに2026年5月に堀場アドバンスドテクノが加わり、参加は28社になっています。これらは共同研究・評価体制の発表で、量産顧客での採用や売上実績を示すものではありません。

自社が参加や提携を考える際も、評価できる構造、測定項目、費用、データ利用範囲を確認します。

Air Liquideは、ガスと供給設備を工場内で運用する

Air Liquideは、高純度の特殊ガスと大量に使うガスに加え、貯蔵タンク、配管、ガスキャビネット、排ガス処理、分析、工場内運用を提供します。

Air Liquideは2026年4月16日、広島県の二つの産業ガスプラントへ2億ユーロを投じる計画を発表しました。設備を自社で建設・運営し、長期契約に基づき窒素、酸素、アルゴンを供給するもので、稼働は2028年末の予定です。

この例ではガスの販売に加え、設備の保有・運転も事業の範囲です。自社で同じモデルを検討するなら、建設費だけでなく、保守、電力、安定供給、需要延期時の費用負担を契約条件と合わせて見積もります。

半導体材料の新規事業:環境対応・評価・循環供給を検討する

環境対応・共同評価・回収再生・汚染分析から、顧客の工程変更で生じる課題を探します。 既存品との価格競争に加え、新しい工程で解決が必要になる課題も検討します。

以下は事業機会の仮説であり、未開拓市場や採算の確定を示すものではありません。

一つ目は、環境負荷を下げる材料への置き換えです。対象となる物質・用途を定め、排出、使用量、製造時のエネルギーと、歩留まり、装置への影響を同じ条件で比べます。

「環境対応」という表示だけで性能や規制への適合を判断せず、顧客工程で必要な再評価を確認します。

二つ目は、先端パッケージ向けの材料評価です。というのも、大型化した基板では、反り、接続、熱、絶縁を同時に見る必要があるからです。

そのため、材料を売らない会社でも、複数材料を組み合わせて評価し、失敗の原因を特定するサービスへ入れます。

三つ目は、ガスや溶剤などの回収・再生です。回収できた量と、品質を満たして再使用できる量を分けます。

再生品を元の工程へ戻すには、純度、混入物、ロット差を確認し、顧客の認定を受ける必要があります。元の工程に戻せない場合は別用途の需要も比較します。

四つ目は、容器、配管、薬液、装置のデータを合わせた汚染原因の分析です。異物が増えた工程を特定し、廃棄や停止を抑えられるかを顧客と測ります。

高感度センサーの導入費、誤判定、保守も差し引き、改善による経済的な効果を確かめます。

自社は半導体材料のどこへ入れるか

化学、分析、装置、回収から近い入口を確認します。

01 化学・表面処理に強い

環境対応材料と工程置換の入口があります。

  • 顧客装置で試せる
  • 歩留まりと排出を同時に測れる
  • 再認定の範囲を説明できる
02 分析・センサーに強い

純度、ろ過、搬送の品質保証へ入れます。

  • 検出下限を示せる
  • ロットと異常原因を追える
  • 停止削減額を計算できる
03 装置・実装に強い

先端パッケージの共同評価へ入れます。

  • 反り・接続・熱を測れる
  • 複数材料を同じ条件で比べられる
  • OSATや材料企業と組める
04 分離・精製に強い

ガスや薬液の回収・再生へ入れます。

  • 再生後の純度を保証できる
  • 工場へ戻す責任を持てる
  • 廃棄と調達の削減額を示せる

NEXT STEP

次のステップ

材料技術を、顧客認定まで届く事業へ。

対象工程、量産損失、評価方法、供給、提携先、品質責任を整理し、自社の参入余地を設計します。

半導体材料で考えられる4つの参入方法

参入案は、支払う部門、評価条件、品質責任、改善効果から費用を引いた採算で比べます。 参入方法は、持っている分析・化学・装置技術を、顧客が費用を払う課題へつなげて選びます。

四つの案について、購入部門、評価先、成果を測る項目を先に具体化します。

半導体材料で考えられる4つの参入方法
図2:自社技術から検討する四つの参入案。当研究所による整理で、各案の採算や顧客採用が確認された実績ではありません。 スマートフォンでは左右に動かすか、画像を開くと拡大できます。

次の表では、四つの方法を、最初の支払者、提供価値、必要な相手、参入前に確かめる証拠で比べます。自社技術に近い行から読むと、検討範囲を絞れます。

半導体材料へ新規参入する四つの方法
参入方法 最初の支払者 提供する価値 必要な提携先 最初に確かめる証拠
環境対応の薬液・ガス 材料会社、装置会社、半導体工場 排出と有害性を下げ、同じ工程性能を保つ 原料、排ガス処理、装置、分析企業 歩留まり、装置汚染、排出量、再認定の範囲
純度・ろ過・搬送の仕組み 材料会社、半導体工場 異物混入と品質変動を減らす 容器、配管、センサー、物流企業 検出下限、ロット差、原因追跡、停止時間
先端実装の共同評価 材料会社、OSAT、半導体工場 反り、接続、熱の問題を材料横断で解く 装置、基板、接着、計測企業 複数材料を変えたときの再現性と費用
材料の回収・再生 半導体工場、ガス・薬液会社 廃棄物と調達リスクを減らす 回収設備、精製、品質保証、保険企業 回収率、再生純度、用途制限、異常時の責任

四つに共通するのは、対象工程での評価が必要なことです。自社に不足する装置・分析・品質保証を補う相手を探し、開発前に評価条件を合わせます。

すべてを外部へ依頼するという意味ではなく、自社で担う範囲と提携範囲を分けます。

溶剤の回収率と採算を分ける架空例

説明用に、月1万Lの使用済み溶剤から80%を回収し、そのうち90%が再使用の品質条件を満たすと仮定します。回収量は8,000Lですが、再使用できる量は7,200Lです。

回収率80%と、実際に同じ工程で使える割合72%は分けて管理します。業界平均や実在企業の実績を示す値ではありません。

再生品1Lが新品1Lを代替でき、新品の調達価格を1,000円/Lとすれば、購入回避額は月720万円です。一方、回収・精製費を回収量1L当たり600円と置くと480万円、さらに検査費100万円、設備使用料60万円で、合計費用は640万円となり、差し引き月80万円です。

この例では、回収対象の1万Lすべてが処理費の対象なら、処理費だけで600万円になり、同じ条件でも差し引き月40万円の赤字へ変わります。費用が「回収量」「投入量」のどちらにかかるかで採算が変わるため、契約上の単位を確認します。

実際には残液の処分費、輸送、再認定、初期投資、品質不合格時の負担も加えます。

参入前に確認したい責任分界と見送り条件

評価先、採用基準、変更管理、異常時の費用負担をそろえてから、大規模投資を判断します。 半導体材料は、採用されれば長く使われる一方、採用前の時間と費用が大きい事業です。

次の六つを、設備投資の前に確認します。

  • 対象となる工場、製品、工程が一つに絞られているか
  • 顧客装置で試す場所と、評価費用の負担者が決まっているか
  • 採用を決める歩留まり、欠陥、寿命、費用の基準があるか
  • 原料変更、製造変更、輸送変更を顧客へ伝える仕組みがあるか
  • 不良時に材料、装置、顧客条件を切り分けるデータが残るか
  • 需要延期や顧客変更時に、設備を別用途へ転用できるか

品質責任も契約前に確認します。規格内の材料でも、装置や保管条件との組み合わせで不良が起き得るため、どのデータを残し、原因調査、再試験、廃棄費用を誰が負担するかを合意します。

顧客工程へアクセスできず、社内試験だけで大規模設備投資を求める案件は、先に共同評価の方法を探します。また、環境負荷の低減を主な価値にするなら、歩留まりと排出・エネルギーの両方を測れるまで投資判断を保留します。

化合物半導体の材料へ入る場合も、判断の型は同じです。SiC半導体の事業機会では、基板、エピ、デバイス、実装を分けています。

そして、材料が変わっても、顧客工程での評価、長期供給、故障時の切り分けが必要になる点は共通します。

技術的に作れることに加え、採用を決める部門、評価条件、支払われる価格、量産費用、異常時の責任をそろえることが参入判断の中心です。

半導体材料に関するよくある質問

材料の種類、市場の読み方、参入準備でよくある疑問に答えます。

Q. 半導体材料には、どのような種類がありますか

A. 前工程では、シリコンウエハー、フォトマスク、フォトレジスト、ガス、薬液、成膜材料、CMP材料を使います。後工程では、基板、ボンディングワイヤ、接着材、封止材、放熱材料などを使います。

Q. 日本企業は半導体材料で強いのでしょうか

A. シリコンウエハー、フォトレジスト、研磨材、高純度薬液、実装材料などで、日本企業は重要な役割を持ちます。ただし、材料ごとに競争相手と顧客認定が違うため、「日本が強い」という一言だけでは参入判断できません。

Q. 半導体材料市場は今後も伸びますか

A. SEMIによると、2025年の世界市場売上高は732億米ドルで前年比6.8%増でした。先端工程やAI向け半導体が需要を支える一方、売上には材料価格も影響します。将来の需要は材料・用途で異なるため、顧客の採用時期、数量、価格を分けて確認します。

Q. 半導体材料と半導体製造装置の違いは何ですか

A. 製造装置は、成膜、露光、研磨、洗浄などを行う道具です。材料は、その装置で加工される基板や、加工に使う薬液、ガス、研磨材です。実際の性能は装置と材料の組み合わせで決まります。

Q. 新規参入には大きな工場が必要ですか

A. 必ずしも必要ではありません。分析、ろ過、搬送、共同評価、回収・再生など、材料量産の外側にも機会があります。ただし、顧客の工程データと評価先へアクセスできる提携関係は必要です。

Q. 半導体材料への参入で最初に確認することは何ですか

A. 対象となる顧客、工場、工程、不良を一つに絞ります。そのうえで、採用基準、評価設備、費用負担、量産後の品質責任を確認します。材料を作り始める前に、認定までの経路を描くことが重要です。

本記事のまとめ|半導体材料は認定経路から参入する

市場の成長と自社の採用可能性は別です。顧客認定までの手順と、継続供給の採算を具体化します。

半導体材料は、ウエハー、感光材、ガス、薬液、研磨材、実装材料まで広い市場です。2025年の世界市場売上高は732億米ドルとなり、前工程と後工程の両方が伸びました。

主要9社の取り組みには、顧客に近い開発設備、装置・材料の共同評価、ろ過・監視、供給設備の運用といった違いがあります。製品紹介、協業契約、研究体制、将来の設備計画を分けて読み、自社に必要な機能を選びます。

環境対応、純度・搬送、共同評価、回収・再生は参入を検討する候補です。試作品と同時に、顧客が評価する方法、供給と品質責任、改善効果から費用を引いた採算を具体化します。

参照した主な一次情報

市場の数値と企業の取り組みは、以下の公式情報に基づいています。事業上の示唆と架空の計算例は当研究所による整理です。

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この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

SEMI、SUMCO、信越化学工業、東京応化工業、JSR、フジミインコーポレーテッド、Qnity Electronics、Entegris、レゾナック、Air Liquideの公式資料。根拠は本文中のリンクから確認できます。

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